かなり昔の若い頃の話だ 

吾輩が住む街から20Kmくらい離れた峠の近くにあるトンネルがあった 

昔だったからトンネル内の照明もまばらで薄暗いのでもちろん車はライトをつけないと走れないくらい暗いトンネルだった それと結構長いトンネルだった

 なんでも噂でそのトンネルを走ってると後ろに髪の長い女が乗っているって怖いうわさが流れていた 吾輩は幽霊なんて鼻っから信用しない性格だった 

 

ある日仕事の用事があってそのトンネルを通って行くことになった それがあいにく仕事が終えてからの夕方になってしまった 夏でもそのトンネル内はひんやりした 

真ん中頃だったか ふとバックミラーを見た 

居るのだ その髪の長い女が それも白装束なのだ

 一瞬鳥肌が立った その時大型トラックが轟音を鳴り響かせながらすれ違った 

「あのトラック野郎ずいぶんスピード出してやがる」 

とまたバックミラーを見てみた 

もうその白装束の髪の長い女はいなかった あの女はきっとあのトラックに乗り移ったに違いないと思った 

 

次の朝仕事の先のホテルで新聞を読んでびっくりした トンネルで事故があったらしい トラックらしい 

「あーあの時のトラックだ!」 

きっとあの白装束の女が悪さしたんだ 夏でもなにかぞっとする出来事だった

 
 

 

 

 

 

ブライダルネット