中学生の頃、祖母が亡くなりお通夜の寂しげな空気の中、家の中は棺の左右に置かれたボンボリだけの薄暗い居間にいた。

 まだ亡くなってしまったことをしっかりと理解できていなかったけれど、

なんとなく「もう会えないんだ」という気持ちになってきていた。 

そんな時、開けっ放しの縁側から外へ出て、ぼんやりと暗い庭先を見ていたら、

 

ひと際明るい光の粒が私の近くをすり抜けて、そして暗い空の中に飛び去った。 

 

ほんの一瞬のことだったので、近くにいた姉には分からなかったようだった。 

今思えば、ホタルのようだったけれど、ホタルが生息するような水辺ではなく、草むらだけが広がる環境だったので、

なんだか不思議な思いが残っている。

 私が思うには、それはきっと祖母の魂が空に昇る前に私にさよならを言ってくれたんだと解釈した。 

理系人間としては、こんなことはあり得ないと言ってしまうところだけど、穏やかだった祖母のことを思い出すと、

「ああ、あの人だったら、きっとそうしてくれるだろう」と思って、

思い出すたびにホッコリしている。 

いまでも、空の上から見てくれていると感じている・・・

 
 
 
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