私が家を飛び出して学生結婚で貧乏をしていた時、とある大手警備会社でB社員という臨時社員をやった事があります。 給料は正社員よりはるかに上、その代わり正社員が嫌がる勤務地へ行かされます。

 ガードマンとバッキンガムの衛兵とを混同している信用金庫のピクリとも動いてはいけない立ち番とか。 それでベテランになると、ある大手都銀の主幹支点の夜警に行かされます。

 仮眠時間になって警備室で制服を脱いで横になろうとすると、前の廊下を裸足で歩く音がするんです。 知らないものだから制服を着直して本社に電話報告を入れてパトロールをする。

 誰もいなくてまた寝ようとすると裸足の足音がする。 

一晩中その繰り返しです。 翌朝、本社に顔を出して報告書を提出するとみんな笑ってるんです。 ”

「出た”だろ?」

って。 霊感が無いはずの誰が行っても必ず”出る”ので正社員が行きたがらないから、高給のB社員が交代で行っているそうです。 

私は週に2日、1年ほど通いましたかね、食うに困ってましたからね。 慣れて来てよく見るとその建物な中の赤外線感知装置、みんな微妙にソッポ向いてるんですよ。 

訊けば、誤作動が多すぎて技術部が最新鋭の計測装置を持って測ってみたら、目に見えないけれど何かが横切っていくのが計測機に出たそうです。 

いくら感度調整してもダメ。 その頃最新鋭だった超音波感知装置でも引っ掛かる。 それでソッポむけてあるそうで。 

という事はたしかに目に見えない何かが居るという事なんですよね。