引き続き、宇野くんがロシア合宿に行っている最中に、素人が語る宇野くんの好きな演技。自分自身の音楽の好き嫌いが激しいので、完全に独断と偏見です。

 

◆ジュニアGF2014のEX「The Blessed Sprits」

1年以上前、彼を知ったときに調べているうちに目にして、「天才だ…」と圧倒された演技です。

当時高校2年生。身長も、大分伸びて、今と同じぐらいですが、158㎝程度というのは13歳の平均身長なので、やはり見た目年齢は-3歳、中学生ぐらいです。

 

この曲は前半はぼんやりした感じで入りますが、途中で曲風ががらりと変わって、重厚でリズミカルになります。

個人的に、そこからが…一言で言うなら「狂ってる」。

 

一心不乱に踊る様子として「踊り狂う」という言葉がありますが、

それとはまったく別。曲に没頭して、我を忘れているのではなく、曲に憑依されて我が見えない、といった印象。

 

この曲を美しく演じるためにはどうすればいいのか、

という演者からのアプローチではなくて、

曲そのものが彼の身体を使って、音楽を表現している。

 

「(要約)彼のスケートが持っている、昌磨独自の世界。

他人に対して『見て見て!』とアピールするタイプではない。

それでも観客はなんだかスーッと彼の世界に見入ってしまう。」

 

「試合で名前をコールされてニコっと笑って、コーチの元を離れて。

そこからスタート地点に立つまでの10秒くらいで、

一気に、彼だけの世界ができあがる。

そこに入ってしまったら、宇野昌磨は全く違う別人になってしまう。

数分後、音楽がやんだら、またひゅうっと

彼から何かが抜けていくように、いつもの昌磨に戻る。

そんな演技スタイル、これまでの日本人スケーターの誰も

持っていなかったのでは。」

中庭健介氏のお言葉ですが、それが顕著に出ていると思います。

 

つまり、漫画で表すと、

 

 

こういうことですね(笑)

宇野くんの演技を見ると、「ガラスの仮面」の観客になれます。

いかにも「ギャップを見せつける」意識が一切感じられないのが、

彼の面白いところ。

(そうそう、宇野くんは、よく「ギャップがある」と称されますが、

実は彼は、自身を「ギャップがあります」と称したことを、自分は聞いたことがないんですよ。ギャップというのは人を惹きつける要素の一つですが、自称しないからこそ「ギャップを見せつける(=あざとさ)」が感じられないのではと)

 

 

 

好きな振り付け(雑なGIFすみませんね)。

重厚な音楽が続くのですが、そのちょっとした「隙間」に流れていた動きをいったんストップ。後半の盛り上がりに合わせて、弾みをつけて勇ましく再スタート。

これこそ、この仕草が何を表しているのか聞きたいのですが、

「特にないです」と言われますね間違いなく(笑)。

自分は、自然の猛威に立ち向かう猛獣を思い浮かべましたが、

決して他人に向けることのない自身への激しい闘争心が、垣間見えるようで惹かれるんです。

 

 

 

個人的に、最も狂ってる(=憑依されている)と思った部分。

 

前々から耳にしていましたが、バイオリンの細いながら伸びる音と、宇野くんはものすごく合うのだろうなと。

冷静に考えると、スケーターは壁との距離を目視しているはずなんですが、それが全く見えない不思議。

 

宇野くんは、彼の意志で曲の作者やその背景を調べないのですが、この演技を見ていると、むしろ「必要ない」なと。

(彼にとって)余計な情報を入れて頭で考えるより、曲そのものを聴いて、それをどう感じるのかといった、彼の素直な感覚そのものが、表現者「宇野昌磨」の真骨頂なのでは。

 

そういや、彼は「観た人が、好きなように感じてもらえれば」姿勢でしたね。つまり演技者の感覚に直結するところであり、これは言い換えれば、知識が全く「助け」とならない分、凄まじい演技者の「技術」「技量」が必要なんですよね。

(いくら感覚で演じても、技量がなければ、観客は白けて「痛い空回り」になるということ)(感覚主体だからこそ、それを伝える高い技量が必要)

 

演技終了し、顔をあげると、一見してまだまだ幼く可愛らしい雰囲気なことに驚きます。音楽に憑依され、場を圧倒していた、先ほどの猛獣はどこに行ったのやら(笑)。