・・・――高校2年6月、西暦にして2003年


あっちぃなー


がやがや雑音が鳴りやまない廊下で男は呟く。


男は山地裕也(やまちひろや)16歳。


裕也ぁーと廊下の先で大きく手を振る男が近づいてくる。


おおぅ・・おはようと慣れた風に挨拶を交わした相手は高下雄介(たかしたゆうすけ)。


俺のクラスメイトで仲がいい友達だ。


雄介は必死に遅刻してしまうと言いながら俺をせかす。


もちろん俺は・・・走って無かった。


1分で教室まで行けるはずもなく諦めていた典型的な遅刻魔だからだ。


雄介いい加減諦めろよ、1分で着くわけねーじゃんと俺が言うと雄介は


ばっか、遅刻しないように頑張ってるとこアピールだよと無駄な事をする。


俺はそんなアピールするくらいなら初めから遅刻しないようにする努力した方がいいだろと


心の中で悪態をつくが、いかんせん自分も遅刻常連なため、ため息を吐きながら雄介の後を追った。





テレビの雑音が部屋の中に鳴り響く中、目をつぶり・・・昔の事を思い出す男がいた。


何を考えているのだろうか。


不安や喜び・・・様々な感情が現れるように微笑む。


男は、昔は色々あったなぁ・・・やら、今は幸せだ等そっとつぶやいている。


そんな中、周りの音をかき消すように携帯の着信音が流れる。


分かった、すぐ行くよ。


男は着信相手を簡単に会話を済ませてドアに手をかけた。


その表情は先程の様々な感情が織りまざった物ではなく・・・


幸せそうな笑みを浮かべていた。


そんなとある男の昔話。