母の家の整理始まる
年老いた母が介護施設に入居してしばらく経ち、実家の整理をすることに。
久しぶりに訪れた家の玄関を開けた瞬間、まず目に飛び込んできたのは、ぎっしり詰まった荷物・荷物の壁。さらに、各部屋には大小合わせて7つのタンス・クローゼット。子どもの頃から見慣れた光景だったが、まさかこれほど多いとは思わなかった。
タンスだけでなく、部屋中が「もったいない」で溢れている。昭和の女である母は、物を大切にすることが美徳とされ育てられた。それは母も例外ではなく、洗剤やティッシュペーパーを買い足してはしまい込み、気づけば備蓄が山のようになっていた。クローゼットを開けるたびに新しい箱が現れるたび、笑いを通り越してため息が漏れる。
特に驚いたのは、洗剤の備蓄量。棚の奥から液体洗剤の替えが続々と出てきた。いつからコレクションされていたのか、歴代のパッケージが並んでいました。「こんなに洗濯してたっけ?」と首を傾げながらも、母がどれだけ物を捨てられなかったのかを痛感する瞬間だった。
片付けの最中、目に入ったのは幼い頃の私の写真。薄暗い廊下の奥からアルバムを引っ張り出し、つい手が止まる。家族写真の中の父と母が、まだ若々しく笑っている。気づけば時間を忘れ、写真に見入っていた。
しかし、現実に戻ると、この家財の山を片付けるのは簡単なことではない。
七年前に亡くなった父の服、母は一着も捨てられなかったのだ。「お金出して買ったものだから」とここでも「もったいない」があふれ出ていました。
この光景を見るに、私も家族に迷惑をかけないように、持たざるが正義ではないかと
考えを巡らせてしまいました。
続く。