日本で作った色鮮やかな蓬団子をフランスでも、との思いを抱えながら、トンカと散歩をしていた時に、元気良く育っているオーティ、すなわちイラクサに目がいった。もしかしたら、もしかすると、そう思って、いつだって携帯しているナイロン袋にオーティの葉を摘んで入れた。棘があるので、できるだけ棘に逆らわずに、そう思っても棘は容赦なく手を襲う。

 

オーティを採っている間は、トンカは何だか呆れた様子でこちらを見ている。もうちょっと待ってね、もうすぐだから。そう言ってやるのだが、分かっているのか、分かっていないのか。

 

家に帰って流水で洗い、たっぷりのお湯で茹でると、あれ不思議、あんなに痛い棘がちっともなくなってしまう。ほうれん草のように柔らかく、蓬の様に頑張って繊維を叩く必要もない。これを米粉と餅粉に混ぜて、団子を作ってみる。いけるんじゃないかしら。

 

さあさあ、お立合い、お立合い。ぐつぐつと茹で上がっている鍋に、ころん、ころんと入れてみる。どうだろう!蓬団子といっても遜色のない程の綺麗な色に仕上がっているではないか。

 

一つ口に入れてみる。うまい!

 

魔法をかけられて白鳥になった王子たちを救った、イラクサ。それで作ったイラクサ団子。なんだか元気になりそうだし、霊験あらたかではないか。よろしかったら、是非お試しあれ!