亡き婆さまの遺言を守った事。
バアちゃまには、母を含め、4人の子供がいた。
けれど、ナゼだか、初孫の私に遺言をしていた。
元気な頃から
シオンさん、私にもしもの事があった時には、ヨロシク頼みますからね…と。
今から11年前、バアちゃまは、眠っているかのように安らかに旅立った。
その遺言と言うのは…
延命治療をしないこと
身内だけで葬儀をすること
遺影や位牌は、私の実家でみてほしいこと
この3つだった。
母には弟が2人いて、上の弟は、車で1時間程の所に住んでいる。
遺影も位牌も、本来、長男である叔父がみるべきなんだけど…
バアちゃまは
生まれ育ったこの土地から、離れたくなかったみたい。
もっと言えば、私に見てほしかったようだった…
私も働く母に代わり、私達3人の孫を育ててくれた祖母を、育ての親だと思っていた。
私には、産みの母と育ての母とがいて、祖母にとって、私は5番目の子供なんだと思っていた。
だから、約束通り、祖母の最期を看取った。
でも、遺影と位牌は、1年後に叔父夫婦が持ち帰った…
3つの約束のうち、2つは守れた。
ホントは、全部、守りたかったけれど、孫の私にはできなかった。
バアちゃまが元気な頃、よく2人でドライブに出かけたし、家族旅行にも出かけた。
働き始めてからは、バアちゃまに、お小遣いやお年賀も渡していた。
だけど、それだけじゃ、全然、足りない程、私はバアちゃまに可愛がり、育ててもらった。
今は、高齢になった母に、私なりの親孝行をさせてもらいたい気持ちで一杯。
恩返しなんて、そんなだいそれた、おこがましい言い方、できないけれど、少し…ほんの少しだけ、孝行できたら良いな…と思う。