大脱走 | 心はいつも銀の燭台

心はいつも銀の燭台

色とりどりのビー玉をガラス瓶に一個づつ。日常の小さなキラキラを書き溜めていくニュートラルダイアリー。

大脱走
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この時期、私は必ずへこむ。


私の叔母が国際結婚をして60年近くアメリカに住んでいるので、子供達を夏休みに連れて行ってやりたい。


観光とか、遊びとかでなく、地球の広さを感じさせてあげたい。ものさしの尺度を広げてあげたい。


そして私の遺産として、種(たね)を蒔いてやりたい。子供達個々の夢や可能性を助けることのできる種を。


血のつながった親戚に、戦争直後の時期にアメリカにわたり、たくさんの差別や屈辱にあいながらも、必死に家族を作り子供を育て、今では孫もいる。こんな遠い場所で、立派に枝葉を広げている親戚がいることを見せてあげたいのだ。


たった一週間くらい行ったって勉強にならない、だとか、ただの贅沢だとか、行く意味がないだとか、お金の無駄だとか、


毎年毎年、この案は、義母や夫に簡単に却下され続けてきている。


地に足をつけ、地元で小さな商売をこつこつこつこつしてきた者にとっては、海外旅行は「ご褒美」にしか思えないのも理解できる。


まずは日々の努力と勉強が大事、という家柄だというのも承知だ。



でも、私は、スポンジのような心を持てるこの時期の子供達に、種(たね)を蒔いてやりたい。


その子が、すぐにでなくていい、何十年かかっても良いから、心に何か芽が出てくれればいいと思っている。



私も夫も、義父母も、また今は亡き義曽祖父母もそうだったように、この小さい町に生まれ、商いをしながら堅実に生活し、多分一生死ぬまでこの町からは出られない。



だから、子供達には、もっと世界は広いこと、堅実も大事だけれど、大きな土俵での勇気や度胸やチャレンジも


していいんだよ、ということを、伝えたいのだ。



今年も叔母から「夏休み、来てね」と誘いのメールがきた。


叔母はもう80歳。


今年こそ、子供達をつれて訪ねていきたい。



たぶん、というか絶対、義母から許しなどでるはずないので、


気分は「大脱走」。


スティーブ・マックインに力を借りて、鉄条網を飛び越えたい。



核家族で、簡単に自由に、海外旅行に行く若い家族の多い中、私は何を苦しんでいるのだろう…