結婚されたあたりから、小説がぐっとおもしろくなったよしもとばなな さん(生生しくて人間に入り込んだ感じになったと思いません?)。「日々の生活をもっと豊かに!」というような本を出しているパトリス・ジュリアンさんとの往復書簡です。

現代の日本で感じる“本当のこと”がどっさり書いてあります。例えば、夕方になると貧富の差に関係なく、みんなちょっと町に出てお茶を飲んだり話をしたりして夕暮れの時間を楽しむような、そういう空間や時間の使い方は日本では中々ないよねとか、日々にちょっとした楽しみを用意することによってゴミ捨てなんかのやっかいな仕事が相手のことを思ってキチンとできるようになるのにねとか、「ほんと、そうそう」な話ばかり。なかには「うわー、耳が痛いわ」と思うこともありますが、それも本当のことだから。暮らしのこと、美意識のこと、仕事のこと、人生のこと、男女のこと、家族のこと、まさに現代!多くの日本在住者に読んでほしいです。

 私はちょっとと思ったことはうやむやにしないで口に出そうと、自分のなかで少し合理的(といえるのか?)な部分を増やそうと思いました。そして、夕暮れの時間をもっと楽しもうと。自分にとって「豊かなことは何かなー」と、身近なことから考え始めますね。
 
 あと、お互いがかなり切迫したところまで心を開いて書いています。えっ、ここまで書いちゃっていいの?と読んでいる方が思っちゃうほど。感じてるズレをはっきり書いてて、それがまたいいと二人とも思っているからこそ、書けるのだろうけど。かなりのプライベート写真もあって、人となりが文章とともによく分かり、それも面白いです。手紙は数年をかけてゆっくり交わされました。今までずっとパチンコ雑誌を作っていたという出版社の新たな一冊。きっと、がつんとした心意気をもった編集の方がおられるのでしょう。


よしもと ばなな, パトリス・ジュリアン, 碓井 洋子
News from paradise―プライベートフォト&エッセイ