いつだったか、山城(やましろ)というところへ行ってきた。
戦国時代、敵を迎え撃つときに、平地の城じゃなく、
森などの山の中に一時的に城を作り、
そこに敵をおびき寄せて戦ったらしい。
土地に起伏があり、上の方などから攻撃できたというわけじゃ。

行った場所は深い森のようでな、昼でも暗い。
森の空き地に昔は井戸だった場所があって、そこに、
負け戦となったときに姫様がそこに飛び込んで死んだとあった。
だからその森で激しい戦いがあったことになる。

そう思うとな、なんだか森の中に怨念がこもっているようでな、
耳を澄ませば、静寂の中から、戦いの雄叫びや悲鳴が
聞こえてきそうな気がする。
きっとたくさんの血が流れたんじゃろ。
その血は地面に染み込み、たくさんの樹木に吸われ、
風が吹けば葉がざわめいて恨みをささやくようじゃ。

もし独り、うっかりそこで寝込み、夜中に目覚めたら、
よろいを身に着けたたくさんの武士が
亡霊となってさ迷い歩いているような気がした。
ああいう場所は、夜に独りで入るもんじゃないと思ったわい。