朝、目覚めると、自分の置かれた状況が
はっと分かるときがあるんじゃ。
まるで、自分を包んでいた霧が一瞬だけ晴れて、
自分が絶壁の上を歩いていたことに気づくようにな。
そんな時はな、自分がいかに何もしてこなかったかが痛感されてな、
後悔の念がとがった針のように胸にちくーんと突き刺さるんじゃ。
この目覚めの感覚は恐ろしくてな、心は麻痺したようになっちまう。
それでも徐々に霧が戻り、痛みは薄れてな、心はやがて
日常生活の穏やかな光の中に包まれていくんじゃ。
でもな、その目覚めの感覚は時々襲ってきては胸に刺さるんじゃ。
意識の下に抑え込んでいる不安が消えることはないからじゃのう。
若ければいくらでもやり直しができるんじゃが、
年を取ってしまえば、出来上がってしまったものを
変えることはもうできはせん。
それでも、それでも、まだ何かできるかもしれん。
そんな思いを胸に抱えて、新しい一日が始まるんじゃ。
で、俳句を一句。
秋深しそれでいいのかと風が問う