写真はマースク・トリプルE級 

全長400m、幅59m 約19万4000トン コンテナ18000個を積載可能。

 

 

時事ドットコムより引用 (赤・太字)

 北陸電力志賀原発(石川県志賀町)で観測された能登半島地震の揺れの加速度が、一部で想定をわずかに上回っていたことが分かった。10日に開かれた原子力規制委員会の定例会合で、事務局の原子力規制庁が明らかにした。安全上問題はないというが、同社が規制庁に報告したのは9日で、自ら公表はしておらず、関係自治体にも説明していなかった。

 規制庁によると、想定を上回ったのは1、2号機の基礎部分で観測された、東西方向の0.47秒周期の揺れ。大きさを示す加速度(ガル)は、1号機が957ガル(想定は918ガル)、2号機は871ガル(同846ガル)だった。原子炉建屋などの重要施設が影響を受けやすい周期ではないという。


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さて、想定を超える揺れだったとはどういうことか。
つまりは、どんな事故が起きるのか、一切想定できない揺れだったと、そういうことだ。
たまたま、大きな被害が出なかっただけ。
揺れの方向や継続時間が変化していた場合、別の形になっていた可能性もある。
また、地盤の隆起というのも致命傷になる可能性がある。
冷却水の取水ができなくなればそこで原発は終わりである。
隆起も一様ではないので、巨大な建造物の場合はどのような破壊が起きるかは想定できない。
※ガルは、加速度を表す単位で、毎秒 1cm の変化を生じる加速度を 1 ガル(1cm/s2)という。

なお、構造物や地盤は、個々で共振しやすい周期(固有周期)を持っている。
地震の揺れを受けたときには、固有周期に応じて揺れ方が異なるのだが、地表面最大加速度 がたとえば500ガルの地震であっても、固有周期の違いで1000ガルで揺れることもある。
地盤の個々で揺れの増幅は異なるので、設計段階ではかなりな数値的余裕を持たせるべきであろう。少なくとも想定される最大規模の地震の倍。

さて、日本海側の原発といえば、柏崎刈羽原発を思い出す。

柏崎刈羽原発の耐震設計における「設計用最強地震」は300ガルであった。
これは、気比の宮断層(L=17.5km)がM6.9の地震を起こすと想定し、
その際に原発敷地では220ガルの加速度が生じると想定されるので300ガルなら大丈夫だろうという計算。
220ガルを想定しての300ガル。安全を考えているように感じる人もいるだろうが、工学的に見た場合、それほど余裕のある設計ではない。
原発の設計等に関しての上位機関であるはずの政府の地震調査委員会は、耐震設計の前提をM8とすべきと指示していたにも関わらず、それではコスト的に厳しくなるので、東電は耐震設計の前提をM6.9 とした。


2007年07月16日の地震では、東西方向に680ガルの加速度が生じている。
耐震強度の倍の加速度の地震が、現実にあったということ。
これが意味するところは、この時、この原発はあらゆる場所で、あらゆる想定外の破壊が起きてもおかしくはなかったということ。
運よく、わずかな火災とわずかな放射能漏れが起きた(と発表しているだけ)だけだったのは、僥倖でしかない。

ちなみに、柏崎刈羽原発の設計での「限界地震」の設定は、5万年というスパンで発生しない「およそ現実的でない」地震で、その想定数値はというと450ガル。
で、その「限界地震」の揺れを実際は簡単に超えてしまった。

ちなみに、2004 年新潟県中越地震では、地表面(震源近くの)で1716ガルが記録されている。
能登半島地震では、志賀町の観測点で2828ガル、半島各地の7つの観測点で1000ガル以上を観測している。
志賀原発で8~900ガルほどの揺れが観測されているが、これ以上の揺れになった可能性もある。

とりあえず、能登半島で数千年に一度の地震が発生し、原発がこれに耐えたのは喜ばしいことであるといえよう。
しかしながら、想定以上の揺れを受け、多くの被害が出ているのは事実である。
冷却水プールに巨大な亀裂が入るといったことがなかったのは幸いである。
稼働させていなかったのも幸運であった。

地震発生後、気象庁は震度7レベルの地震に備えろと繰り返しアナウンスしている。
熊本の地震で、大きな地震の後の地震は最初の大きな地震よりは小さいというこれまでの余震についての考えが、ひっくり返ったからである。
能登半島においても、二度目の震度7の地震が発生した可能性はあった。

建物や地盤は、大きな揺れを受けると当然ながら損傷し剛性が低下する。
地震発生で各所に被害を受けた志賀原発も、当然ながら建物には大きなダメージがあったと考えるべきである。
そこに、二度目の大地震が発生していた場合、どうなったかは不明である。

「君子危うきに近寄らず」という言葉がある。
原発、危うきに建てず、とわしは考える。


わしは繰り返して主張しているが、原発は洋上こそがベスト。
原子力空母よりもしっかりつくれば、もっとも安全な原発が出来上がることになる。
原発と太陽光発電と風力発電を行う直系1キロぐらいの人口発電島を、日本各地の湾に浮かべよう。
なんなら滑走路にして空港として使えばとても便利だ。(空母ではないと言い張れなくなるが)
保安庁の基地に採用したら便利だと思うがどうだろうか。
航空機の運用を考えると、2キロメートルぐらいの長さが欲しいが、それだと建造の労力が大変そうではあるが。
400メートル級原発船を複数繋いで 連環の計としゃれるのも悪くない。

コンテナを運ぶわけでもないので、浮力にも余裕がたっぷりあるし、空間もある。

二重隔壁でなおかつ厚さを増せば完璧。

マースク・トリプルE級は、船体外殻を70mmの高張力鋼板で構成している。

空母はというと、敵からの攻撃に耐える必要があるため、喫水近辺の側面で200mm近い装甲となっている。

原発船は、航空機もコンテナも運ぶ必要がなく浮力に余裕があるので、これをさらに厚くすることも可能である。

なんなら二重隔壁で囲んでもいいだろう。

コンテナ船では速力を落としたくない、船自体の重量でのエネルギーロスも減らしたいという理由で船体の構造には必然的に制約があるが、移動そのものを求めていない原発船にはその縛りはない。

 

8000トン級の米国のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」と2万9000トンのコンテナ船「ACXクリスタル」の衝突事故では、破壊されたのは「フィッツジェラルド」であった。

コンテナ船は、実はかなり堅牢な船なのだ。それをさらに頑丈に仕上げれば、国内の湾に配置する限りは、テロなどの攻撃に対しても不安はない。

海上にあることで、陸兵の進入も防げることになる。


発生する熱量と電気を利用して農業をすれば、食糧生産にも寄与できる。

数フロアを食料生産に充てれば、かなりな生産量が見込めることになる。
カジノとホテルを併設しレジャー施設にして、経済的な利得も得られるだろう。

地方経済に益すること大である。

陸奥湾や東京湾、瀬戸内海あたりは、他国からの攻撃やテロからも比較的安全である。
湾内であることから、他国の潜水艦の進入に対しても警備は簡単。
事故が発生しても、いざとなれば太平洋に曳航して沈めてしまえばそれで終わり。
すでに何十隻もの原潜が海に沈んでいるのだ。それでも、わしらは海の魚を食べている。
日本の電力生産では、洋上原発こそが最適解とわしは信じる。