ご近所トラブルというのは、どこにでもあるらしい。

 

ミスマープルが住むような、平穏な田舎の村でも、

医者に弁護士、元とはいえ修道女たちが住むような、

品のよいゲートウェイコミュニティーでも。

 

現に私自身、

「もうちょっとおうち側に車を停めてほしいなあ」と、

いつも思っているご近所さんがいる。

些細なことなのだが、毎回のことなので、

内心のイラッがつのっていくのだ。

 

いつかぶつけられて、ご大切なお車に、

穴ぼこを作っちゃえばいいと内心思っているのが、

正直なところだ。

 

幸い、殺人事件にまでは至っていないが。

(今のところ)

 

それが、至っちゃうこともあるのだなあというのが、

この『死はすぐそばに』である。

 

 

シリーズ5巻目。

探偵はホーソーン、記録者はホロヴィッツというのが、

このシリーズの魅力である。

ホロヴィッツ? 

そう、「作者が事件の記録者である」という体なのだ。

 

アレックス・ライダー・シリーズの作者である。

007シリーズの公式続編を書いている。

『刑事フォイル』の脚本家である・・・等など、

作中のホロヴィッツは作者ホロヴィッツとまったく同じである。

 

だから、読者たる私は信じてしまうのだ。

作中のホロヴィッツは、作者ホロヴィッツであると。

作中ホロヴィッツ=作者ホロヴィッツであると。

 

しかし、考えてみてほしい。

作中ホロヴィッツは事件の行く先を知らない。

犯人を知らない。

けれど、作者ホロヴィッツは事件の行く先も、

事件のありようも、真犯人も、当然知っているのだ。

作者が作った話だから!

 

時々、本を置いてトイレにでも行っている時、

お茶でも飲もうとしている時、

「あれ?」

ふと気づくときがある。

「あれ、私の読んでいるホロヴィッツって、誰?」

 

作品を読みながら、話を楽しみながら、

ホロヴィッツに煙に巻かれている心地がするのだ。

 

作者ホロヴィッツに、いいようにだまされているのを楽しむのが、

このシリーズの醍醐味だと思っている。

 

タイザンボク

 

幸いなのは、シリーズ5巻目でありながら、

いきなりこの本を読んでも大丈夫ということだ。

シリーズを最初から読んでいる人はもちろん、

内容をさっぱり忘れている人(私のように)も、

どちらでも楽しめる。

 

クリスティのネタバレもあるが、

作品名を明かさずしているところが、

ホロヴィッツ流のうまいやり方だなあと感心した。

 

思わぬ本を評価しているところも、

読みどころの一つである。

 

 

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