推し、逝く。 | 中身はまだない。

中身はまだない。

なんの変哲もない普通の日々を送るただの人の話。

中村吉右衛門が亡くなった。

 

推し、と言うほど熱心なファンではなかったけど、

中2で鬼平犯科帳に出会って以来ずっと好きで、

『半ズボンをはいた播磨屋』とか本も何冊か買って、

1回だけですけど歌舞伎も観に行きました。

 

とにかくこの人の演じる長谷川平蔵がかっこよかった。

捕り物のときのお頭の渋さはもちろん、役宅でくつろいでるときの柔和な感じ、

でもって相模の彦十に銕っつあんと呼ばれてるときのやんちゃな顔、

もう全部が全部もうそれはそれはそれはかっこよくてもうかっこよいのでした。


原作も好きやったけど、テレビ版も大好きで、

放送当時、水曜日は塾があって見られへんから録画してゆっくり見るのを楽しみにしてた。

あの当時14歳やった私が今や45歳やもんな。

そうか、あの時の吉右衛門丈は今の私と同じぐらいやってんな。

 

渋かったなあ。

世の中の酸いも甘いもかみ分けつつ、でもまだ脂っけがあって。

 

テレビ版の鬼平に出てた人もいっぱい亡くなってしまって

続編はなくてもいいと思ってたけど、お頭が亡くなってしまってもうほんまに終わりなんやな。

 

松竹座で観た、籠釣瓶花街酔醒の「花魁、そりゃああんまり袖なかろうぜ」のセリフが

とてつもなく切なくて、もう涙が止まらず、しばらくは思い出し泣きをするほどだった。

 

お母さんがお嫁に行くとき、必ず男の子を2人産んで、1人はそちらの養子にします!って

お祖父さんに約束して、そんで白鴎と吉右衛門を生んで、

弟の吉右衛門をお祖父さんの養子にしたって読んだ。

複雑やったやろな…

白鴎がたった一人の弟ってコメント出してたけど。

娘さん4人やから吉右衛門の名前はどうなるんやろ。

私なんぞが気にしても仕方ないけど。

 

好きな芸能人が亡くなったのは初めてのことですが、

なんか思ってるよりショックを受けててびっくりしてます。

 

推し、燃ゆ。

じゃなくて

推し、逝く。

 

今日は鬼平犯科帳をどれか一編だけ読んで寝ます。

ご冥福をお祈りします。