11月1日に特別国会召集、というありえない日程⓪目次
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11月1日に特別国会召集、というありえない日程
2017.10.29.
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0目次
0-1目次
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0-2図表目次
Tabelle 1: ドイツ―連邦議会選挙から連邦政府発足までの期間
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1ありえない政治日程
過日投開票が行われた衆議院議員総選挙を受けての特別国会(特別会)が11月1日に召集される、と報道されています。
ありえません。 ≪内閣総理大臣を指名するだけで、委員会審議はパス≫とか、≪代表質問すらない≫とか、≪そもそも 所信表明さえ行わない≫とかの、新聞やテレヴィで話題になっていること……確かに それらも、まともな民主主義国では、「ありえません」。 しかし、さらなる そもそもの話として、もっともっと根本的な話として、11月1日召集という日程が、ありえません。 毎度のことなので、「今回もやはりそうだろうな」と予想はしていましたが、それでもなお、「あってはならないこと」であり、「まともな民主主義国では起こりえないこと」です。
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3自公連立が本来協議するべき諸テーマ
Tabelle 2: 自由民主党と公明党との政策相違
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自民 |
公明 |
原発 |
原発はベースロード電源 『総合政策集2017 J-ファイル』(以下、「総合政策集」と略)「98 原子力政策への信頼の回復」(p.28)、『衆院選 政権公約2017』(以下、「政権公約」と略)Ⅰ経済再生・エネルギー(p.14)の第3項目 核燃サイクル推進・高速炉開発 |
原発の新設を認めない。原発ゼロを目指す。 『衆院選 重点政策 Manifesto 2017』(以下、「Manifesto」と略)・②力強く伸びる日本経済へ・⑻環境・エネルギー戦略の第7項目(p.8) |
核廃絶 |
言及なし。総合政策集では、核軍縮・不拡散に一応触れているが、廃絶については、遠い将来の目標としてすら語られていない。 「453 北朝鮮の核開発・ミサイル発射の阻止」(p.101) 政権公約では、核軍縮・核不拡散についてさえ言及なし。 |
「核兵器禁止条約の採択を契機として、「核兵器のない世界」の実現に向けた様々な取り組みを進めます」 Manifesto ③安定した平和と繁栄の対外関係 ⑶「核兵器のない世界」へ向けての取り組み(p.11) |
選択的 夫婦別姓 |
国民的議論を深める 総合政策集「424 家族に関わる課題の検討」、政権公約・Ⅳ国の基本・政治行政改革(p.19-20)の第12項目 としつつも、実際には旧姓使用の拡大でケリをつけようとしており 総合政策集「64女性の活躍を支える基盤整備」(p.18-19)、政権公約Ⅰ・経済再生・女性活躍(p.12)の第10項目 導入に否定的 |
導入の実現へ向けて議論を進める manifesto ③人をはぐくむ政治の実現へ (22) 人権の保護、性的マイノリティーの支援 (p.10)の第7項目 |
最低賃金 |
「最低賃金1,000円を目指します」 政権公約・Ⅰ経済再生・働き方改革の第2項目(p.12) |
「全国加重平均1000円をめざして最低賃金を年率3%を目途として着実に引き上げ」 Manifesto ②力強く伸びる日本経済へ ⑵長時間労働の是正、同一労働同一賃金など、働き方改革の実現(p.5-6)の第7項目 |
ドイツ諸政党の公約に比べるとあまりにも薄すぎ、「公約モドキ」としか言いようのない公明党の『衆院選 重点政策 Manifesto 2017』ですが、そうはいっても言及されている政策は多領域にわたっており、中には自由民主党の公約と抵触するものもあります。 本気ですり合わせを行おうとしたら、10日で終わるなどとは とても考えられません。
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4日本政治の民主度
私がざっと見ただけでも、これだけの交渉議題があるのです。 一致点を見出すのが難しい課題からも目をそらさず 国民のために誠意をもって政策のすり合わせを行おうとしたら、10日間などでは済むわけがありません。 にもかかわらず、私が知る限り どの大手メディアも11月1日召集という問題を問題としてとらえていません。 起こっている事態がありえないことであるのに輪をかけて、本来それを指摘しなければいけないジャーナリストや多数派政治学者があまりにも鈍感で(民主主義を根本のところで理解できていないから、民主主義に反する事態が発生しても、「おかしいのでは」という感覚が生じない)、全く指摘しないという、これまたとんでもないことが起きているわけです。
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①まずは連立協約をめぐる交渉の中で両党幹部が徹底的に話し合い、②そこで出た一旦の結論を全党的な討議にかけ、③その討議での支部党員の様々な意見も踏まえて代議員が党大会に臨み、④大会での討論を踏まえて、連立協約案を承認するかどうか、党大会で最終的に採択し、決定する――というプロセスを抜いた政治は、民主政治ではないのです。
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4-2大手メディアの罪
ドイツ基準で評価した場合、日本の政治は「民主主義もどき」「民主主義ごっこ」です。 また、こういう問題ある現状を問題ある現状として伝えないメディアの報道も、ドイツメディアの報道と比較すると、「ジャーナリズムもどき」「政治報道もどき」「報道ごっこ」です。 ドイツメディアにも問題点はあります*1。 世の中に「完璧」など、まずありえません。 けれども、重大イシューについてのコンセンサス形成を欠いたまま、投票日の10日後に連邦首相指名のための連邦議会を招集するなどという場合に、それを看過するなどということは ありえません。 Boulevard(大衆紙・タブロイド紙)ならともかく(Bildのような例外はあるが、大衆紙は、報じ方の質の高低を云々する以前に、連邦政治や世界政治などは、まず 扱いさえしない。生活に密着した地域の政治はきちんと取り上げる)、まともな新聞が そんな重大事態を見過ごしなどしたら、読者から見放されます。 それが民主社会における報道の在り方として、当たり前のことです。
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5まとめ
本当は「11月1日召集」の伝えられた27日のうちに記事をアップするつもりだったのが、大幅に遅れてしまいましたが、これをお読みの皆さん、連立政府の統一政策がどうなるのか、しっかりと監視していきましょう。
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おしまい