大手銀行の不動産向け融資で、特定の事業に資金を貸し出し、返済もその事業の収益からに限る「ノンリコース融資」が拡大している。


大手銀行5グループの同融資額の残高は6兆円を超えた。


地価が上昇した都心部の不動産開発が進んだのが背景で、1年間で一割伸びた。


まず、「ノンリコース融資」とは何か説明したい。


事業単位で融資し、返済は事業収益から回収する。


一般の融資とは異なり、事業からの返済ができない場合、企業は返済義務を負う必要がなく、最悪でも担保物件を提供する事で返済は完了する。


融資する金融機関はこのようなリスクを負担する代わりに、金利を高く設定するなど利益率を高める事ができる。


この仕組みを理解したとき、私は「サブプライムローン」に似ていると感じた。


サブプライムローンに関しては、前回書いたが、二つの仕組みの類似点は「金利が高いが、債権者のリスクが高い。」という事である。


この不動産向けの「ノンリコース融資」の返済原資は賃貸料収入などである。


実際、オフィス賃貸料を例として調べてみると、全国で2005年と比べると16%上昇し、首都圏だと29%上昇している。(ちなみに住宅賃貸料はあまり変動がない。)


需要と地価の上昇が原因であろう。


しかし、「サブプライムローン」と同じように、需要と地価が下落し、返済原資の賃貸料収入では、返済が間に合わなくなる可能性もある。


そして、地価下落と共に担保物件の価値も下落するとなれば、債権が膨らんでしまうだろう。


前回書き忘れたが、「サブプライムローン」も担保住宅を差し出せば、返済義務はなくなる。

住宅価値が下がり、担保自体の価値が下がったのも問題の一つなのであろう。



このように考えると、金融機関はまた失敗を繰り返すかもしれない。


前回のブログの文末に書いた、「二度あることは三度ある。」の三度目はこのノンリコース融資による損失かもしれない。