トイプードルの「むぎちゃん」です

むぎちゃんは生まれつき、重度の
「膝蓋骨脱臼*¹」「股関節形成不全*²」
という疾患があります。
膝蓋骨脱臼は小型犬によく発症する疾患のひとつです。
文字通り膝蓋骨が脱臼することで、歩様に問題が生じます。
よく後肢を挙上して歩いたり、しばらくしたら戻ったりという症状があらわれます。 膝蓋骨脱臼はそのレベルにより、4段階に評価されます。むぎちゃんはその中でも特に程度の良くないgradeⅣという評価となります。
gradeⅣの症例は矯正手術でも完全に治すことは困難なことがしばしばあります。
むぎちゃんは膝蓋骨脱臼だけではなく、股関節形成不全も同時に発症しています。遺伝的な生まれつきの問題となります。股関節がうまくつくられないことで、ずっと股関節も脱臼した状態となります。 小型犬の場合は、股関節はわれわれ人間に比べて、重要性が低いため、脱臼している状態でもある程度歩行ができたりします。しかし、必要に応じて治療をしてあげないといけません。
初めて診察に来た日のむぎちゃん 当時3ヵ月齢

膝蓋骨脱臼と股関節形成不全により後足が伸びず、後肢を引きずるように前脚でほふく前進している状態です。
通常の犬のように4本足では歩けません。
初めて当院にてレントゲンを撮ったときのものです↓

比較のために、正常な犬のレントゲンです↓

よく見ると、正常とは違うことが分かりますね。

むぎちゃんは生後3ヶ月という若齢で骨が柔らかく、すぐには整復手術という選択肢を選べませんでした。
また、手術をしても、筋肉の付き方具合やムギちゃん自身が今の状態に慣れてしまうことなどで完全に歩けるようになる保証はありません。
命に関わる事ではない為、この状態を受け入れて生涯付き合っていくのか、希望をかけて整復手術をするのかは飼い主様に託されます。
とても悩むことだと思います。
私たちは最善案の提示と全力のサポートをさせていただくのみです。
ひとまず1か月後に再度レントゲンを撮り、骨の成長に伴う状態の変化を見ることとなりました。
また、手術をする場合は筋肉等が変形したまま固定されてしまわないようにも早めでの対処を考え、生後半年までに完了することを目標にしました。
*¹通称「パテラ」と呼ばれ、先天的と後天的に分けられる。
先天的→成長期に骨や靭帯、筋肉の形成に異常が生じることで発症
後天的→交通事故や高い所から転落など膝に強い衝撃が生じることで発症
*²大腿骨の骨頭が変形している、または骨盤側の凹みが浅く大腿骨が外れやすいなどの状態
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