(?なんだろう… )
私は南本先生に呼び止められたので、座り直し、先生の顔を見ました。
南本先生「この実さん… 本日の鑑定結果が大変厳しいものとなってしまい、すみませんでした」
私「え! いえ、そんな! だって先生のせいじゃないし… (先生、優し!)」
南本先生「はい。
一つ、今日の鑑定中、タロットの出方で気になったことがあります。
少しご説明させていただいてもよろしいですか?」
私「あ、はい…」
南本先生「今日の鑑定で "このカード" がずっと何か言いたげに出続けていました」
先生はそう言って、一枚のタロットのカードを私の前に置きました。
そのカードには【THE FOOL】と書かれていました。
私「フール… バカ、愚か者ですか…?」
南本先生「はい。意味もですが…
この絵を見て下さい」
私「・・えぇっと… 青年が嬉しそう? 楽しそうに上を向いていますね」
南本先生「この青年の足元を見て下さい」
私「・・えぇっと… これは… 崖の上??」
南本先生「はい。彼の足元をよく見て下さい。
今にも崩れそうな崖の断崖に立っている。
彼はこの迫る危険に気がついていない。
左足を見て下さい。
既に崖が崩れ落ちていて、今にも落下する」
私「あ、ほんとだ… 」
(タロットってそういう風に細かいところまで見るのね!)
南本先生「彼は間違った方向にひたすら進み続けた。これから地獄に落ちます。
彼の横に "白い犬" がいますよね」
私「はい… 」
南本先生「"犬" というのは賢い、賢者の象徴でもあります。
・・・おそらく… 彼に忠告した人がいたと思います。
「それは違うよ」「間違っているよ」「道はこっちだよ」と。
そしてそれは1人じゃなかったはず。
何度、誰に言われても、彼はそれを受け入れなかった。聞く耳を持たなかった。与えられたアドバイスをことごとく無視して、自我を突き通した。
いいですか。
この男はこれから崩落します。
あなたは全く悪くありません。
本来、彼は優しくていい人だったはずです。
ただ、少し精神力が弱いところにつけこまれてマインドコントロールされ、人格崩壊した。
受け入れ難いとは思います。
しかし、あなたはただただ毅然と精神を保ち、然るべき法的手段で戦って下さい。
同情の余地はありません」