「この実ちゃーん! 久しぶりだね! 元気だった??」
電話口から聞こえる美和ちゃんの声はあの頃と変わらず、心地よい春風のようです。
一瞬で高校生の時の美和ちゃんを思い出しました。
私「あ、美和ちゃん、本当に久しぶり。元気だったかな? 今日は突然、電話で相談だなんてゴメンね…
…実は・・・・・ 」
美和ちゃんは、終始言葉を遮ることなく、相づちですらタイミングを見計らいながら私の話を聞いてくれました。
美和ちゃん「この実ちゃん… まずは… 辛かったね… 体調は大丈夫? ご飯は食べられてるかな?
実はね、私、3年前にM旅行会社を辞めているの。でもね、会社の社内掲示でともきさんとこの実ちゃんが結婚したことは知っていたよ。
私はともきさんとお会いしたことないけど、同僚が"優しくていい人"だと言ってたから私も嬉しく思ってたの… 」
私「ははは… そうなんだ…
"優しくていい人"ねぇ…… 」
美和ちゃん「だから、その、、まさか、そんな、信じられない… 会社の後輩とだなんて… そして突然の人格豹変だなんて…
私も会社の当時のパートの社員さんとかにも聞いてみるね!
…ただ今その人たちがM旅行会社にいるか分かんないし、部署も違うから… あまり望みないかもしれないんだけど… 」
私「ううん… 聞いてくれてありがとう」
美和ちゃん「・・・・この実ちゃん…
実はね、私も、似たようなこと経験しててさ…
数年前に夫の不貞で離婚してるの… 」
私「え!!!?? そ、そうだったの… 」
美和ちゃん「その時ね、本当に辛かった。しんどかった。
傷つけられた気持ちはちょっとやそっとじゃ治らないよ…
私の場合はね、夫のケータイから相手女性も特定できたし、証拠の写真もこの目で見たからさ。その女も夫の会社の後輩だったんだけど…
で、私はその女の家まで行って、玄関先でビンタして帰って来た!!w」
私「!!!!!!!!!!!!!」
衝撃でした。
離婚うんぬんよりも、あの優しくていつもニコニコして、癒し系だと言われていた美和ちゃんがビンタを??!!!!
私は何よりその事実の方に衝撃を受けました。
・・・・・それほどまでに、不倫、浮気、裏切り行為は最低だということです。
会わない20年の間に、私たちはお互い壮絶な体験をしていたようです。
美和ちゃんはその後、年下の優しい旦那さんと再婚し、M旅行会社を辞めたのはご主人の転勤の理由とのことで、今は県外で幸せに暮らしています。
「あ、この実ちゃん、もし良かったら」と美和ちゃんは話しました。
「私は自分の離婚の際の公正証書の作成やその他書類のやり取りとか、行政書士の先生にお願いしたの。お陰様で元夫から毎月慰謝料は振り込まれたわ。
女性の先生なんだけど、自身も長い間離婚調停や協議で苦労してきたんだって。
同じ女性として親身になって聞いてくれると思う。
後でURL送っておくね!」
美和ちゃんは言いました。