少し矛盾を指摘され、夫は自己防衛からか、畳み掛けるように言いました。


「そもそもこの実と俺は価値観が全然違う!」

「タナカさんとは(最近趣味になった)山登りが一緒にできる。好きなバンドも似ているから音楽の話もできる!」


夫は言った後、一瞬はっとした顔になりました。


私は、「あぁ、ついにここで本音が出たな」と思いました。





私「そうなの… 

ともちゃんはいつも他人と比べるのは嫌だ、比べられるのは嫌だ、自分は自分で人は人って言ってるよね」

「今、私はタナカさんと比べられて否定されてとても傷ついたよ…」



夫「や、そ、それは、、 わ、悪かった、比べて。だ、だって前に、この実に登山誘ったら乗り気じゃなかったし断られたじゃん! 

俺はこの実の好きな3代目JSBとか分からないし。車の中で俺の好きなバンドの音楽をかけたら興味ない顔をされたし!」



私「夫婦になったら必ず全ての価値観を一致させなきゃいけないの? お互いに違う趣味を持ったら受け入れられないんだ?」


夫「いや、そんな、、ことはないけど… 」





私「私はね、ともきに出会って、自分にないものをいっぱい持っていて本当に尊敬していた。ともちゃんの口癖の「何もない事が一番幸せ」というのが大好きで、ついつい意識が外側や他人に向いてしまう私の心の支えだった。

ともちゃんと結婚してから、小さいことに感謝したり、何もないことに有難いと感じる心の余裕ができて本当に感謝している。

いつも元気が出ていた。

素直で優しくて、愛情深くて…

いつも私を一番に考えてくれて。

私だけじゃないよ、私の家族もそんなともちゃんが好きだったよ」


一生懸命に訴えるように話していたので、私は涙が止まらなくなりました。



そんな私を見てか、夫も少し目頭が赤くなっていました。




私「本当の事を言ってほしいの。

その、タナカさんに心が動いた、何かがあったっていうことなら…」


夫「違う! 心変わりじゃない! それだけは本当だから!」