ボストン1947を観てきました。

 

日本統治が終わった朝鮮。それでもベルリンのマラソンのメダリストのソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)とナム・スンニョン(ペ・ソンウ)の記録は「日本」のもの。

ロンドンオリンピックに韓国代表を送り出すためのボストンマラソンへの挑戦の物語。

ソンを監督に、銅メダリストのナム・スンニョンに加えて新人ソ・ユンボク(イム・シワン)をボストンへ。

「難民国」民が米国に渡るための保証金や保証人、そして胸の国旗。

 

スポーツと政治は無関係であるべきという「正論」の裏側で、自国民の活躍に元気づけられるメンタリティがあるのは否めない。

そこにはやはり国を代表してというプライドと祖国への想いがあることは伝わってくる。

 

カン・ジェギュ監督。

ミッシングを観てきました。

 

沙織里(石原さとみ)の娘6歳の美羽が突然いなくなった。

失踪報道の背後では、その当時ライブに行っていた沙織里の行動へのSNS上のバッシング、最後の目撃者である弟の圭吾(森優作)への執拗な密着取材…。

一方で、上からの指示にも悩みながら報道を通じての事件解決に心を砕く地元テレビ局の砂田(中村倫也)。

2年を経ての別の失踪事件…。

 

見つからない自分の娘。揺れ動く母親の心。「世間」からのバッシングや好奇の目。

世の理不尽さもあわせて切々と伝わってくる。

 

吉田恵輔監督。

愛に乱暴を観てきました。

吉田修一の同名の小説の映画化作品。

 

夫の実家の敷地に建てた離れで暮らす桃子(江口のりこ)と真守(小泉孝太郎)。

手作り石けんの講師をしたり、センスのある装いや手の込んだ料理。「丁寧な暮らし」。

しかし、ごみ捨て場の不審火から始まり、愛猫の失踪…。

真面目に生き生きとしているのに真綿で絞められるような不穏な空気が覆い始める。

床下のベビー服、遠回しに表現する姑(風吹ジュン)の感情、だめんずの夫って思ってたら…。

めぐる因果に振り切れる桃子。なかなか面白い。

 

森ガキ侑大監督。

劇場版 アナウンサーたちの戦争」を観てきました。

 

昭和8年の関東防空大演習の実況放送に始まり、終戦の玉音放送に至るまでのアナウンサーと戦争とのかかわりを描いたドラマ。

スポーツ実況中継で人気を博した和田信賢(森田剛)と新進気鋭のアナウンサー館野守男(高良健吾)はともに、日米開戦のニュースと玉音放送にかかわることになる。

一見破天荒に見える和田。「虫めがねで調べて、望遠鏡でしゃべれ」…現場の声を聴き、調べたうえで大局を見据えて放せ、言葉の重みの自覚、軍部・政府からの国威高揚・プロパガンダへの圧力、謀略放送、真実を伝えるはずのメディアがいかに戦争に組み込まれたか。そして女子アナウンサーの草分け実枝子(橋本愛)の和田との出会いと女性から見た戦争。

国の1機関である以上、それぞれの個性や想いを表に出すわけにはいかず、明確な命令や同調圧力のもとでたどった足跡。

ずっと引き込まれっぱなしだった。

TVドラマの映画化作品。

 

一木正恵監督。

ソウルの春を観てきました。

 

1979年の朴大統領の暗殺の後一瞬訪れた「ソウルの春」。

それが全斗煥の軍隊掌握、大統領就任、光州事件、ソウル五輪へとつながる、

そのクーデターの史実ベースのドラマ。

朴大統領の暗殺事件の合同捜査本部長のチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、秘密結社ハナ会を率いて1979年12月12日にクーデターを敢行する。

首都警備司令官のイ・テシン(チョン・ウソン)は、潜むハナ会の部下を抱えながらもクーデターを阻止すべく奔走する。

 

なぜ朴大統領の暗殺の後も強権政治が続いたのか、その転機となった1日。

権力掌握のための仕掛け、行動、そして鎮圧の失敗。着地点が分かっていてもなお引き込まれた。

 

キム・ソンス監督。