イラク出身の女優サヘル・ローズさんの特集が先日放映された。
彼女の生い立ちと心の変化に涙が止まらなかった。
サヘルさんは、イラン・イラク戦争の孤児として、瓦礫の中、親も名も分からない状況で現在のお母さん(養母:フローラさん)に救い出され、生き残った。
孤児院に預けられ、数年後、お母さんは迎えに来る。その後、二人で来日し、日本で暮らす。
生まれてから学生時代までの不遇から自分の存在意義を問い続けてきた彼女。
バングラデシュや祖国イラン、敵国だったイラクを旅する中で、自分より不遇な人々が強く生きる姿を見、逆に励まされ、今を自分を見つめる。
という内容のドキュメントだった。
美しい容姿に隠れた複雑な心。
それが癒されつつあるプロセスを赤裸々に見せてくれた。
戦争がうみだす苦しみ、生きる事・生きないといけない事、貧富の問題、幼児期から思春期にかけてのトラウマが後の人生にどれだけの影響を与えるのか。。。
など、多くのことを考えさせられた。
また、同時に私自身のことを振り返ることができた。
私は二十歳前後、途上国の国々を旅したことがある。
その時、世界最貧国と言われたバングラデシュにも出向いた。
当時の旅は、『人は何で生きるのか?何のために生きるのか?社会(世界)はどうして不公平なのか?自分はどう生きるのが良いのか?』を問いつつ、自分と向き合う為の旅だったんだと思う。
私の旅もサヘルさん同様、NGO(国際協力団体)の現場を回りつつ、地元の人に逆に励まされたり、勇気づけられることも多くあった。
ダッカ、チッタゴン、コミラなどをタイで活動するNGOスタッフや一人で、NGOや青年海外協力隊の活動現場を回らせてもらった。
今は、写真も残っていないが人生の大きな財産になっている。
当時の複雑な心境の時期を超え、知らぬ間に年月が経ち、今はとっても幸せだと実感できる日々を過ごせている。
サヘルさんは癒しの途中。きっと、彼女の癒しは、多くの人にやさしさと勇気を与える存在になるはず。
サヘル・ローズは、きっと、誰をも勇気づける愛深い存在になっていくんだろうな~と思った。
サヘルさんとお母さん、そして、企画されたNHKディレクターに心から感謝したい。