4月7日トランプ大統領政権は、シリア中部シャイライト空軍基地を駆逐艦2隻から巡航ミサイル59発で攻撃をしました。その理由は猛毒サリンなどの化学兵器を使用したアサド政権への対抗手段としています。
シリアとは正式名はシリア・アラブ共和国。北にトルコ、東にイラク、南にヨロダン、西にレバノン、南西にイスラエル。首都はダマスカス。政治は共和制、大統領制を取っています。大統領の任期は7年、ムスリムでなければなりません。首相は大統領により任命されます。 軍事はアラブ世界ではエジプトに次ぐ軍事大国で徴兵制があります。
シリア軍の総兵力は32万人、予備役は50万人。シリアの軍事費は国家予算の1割、膨大な軍事費のためにシリアの財政を圧迫している状態です。イスラエルからゴラン高原返還がアサド大統領の主要外交政策と言われている。
歴史上、トルコ、イスラエル、イラク、レバノンなどと地理的・文化的隣国との激しい緊張関係を経験しています。スンニ派アラブ諸国(サウジアラビア、カタール)とは敵対関係。
アメリカからはテロ支援国家に指定されいます。シリア国内ではハマース、ヒズボッラー、イスラーム、ジハード等の組織を支援。首都ダマスカスにハマースのその他のパレスチナ・ゲリラの拠点があります。
隣国イラクとの関係
シリア・バアス党とイラク・バアス党の政治対立していて、イラク・イラン戦争ではイラン支援し、湾岸戦争ではシリア軍が多国籍軍の一員としてイラク侵攻など対立の時代が長かった時もあります。しかし、イラク戦争後アメリカ軍により指名手配された旧イラク・バアス党幹部やイラク国内の混乱からシリアへ亡命者受入れは120万人以上とされています。
シリア政府は政治亡命したイラク・バアス党の引き渡し拒否やイラクで米軍と戦うアル・カイーダなどのテロリストがシリア経由でイラクに入っている状態です。
ロシアとの関係
ロシアはソ連時代から最新鋭の防空兵器や弾道ミサイル等販売。シリアにとって最大の武器援助国。ロシアはシリアに軍港や空軍基地を持っています。2013年シリア危機においては、化学兵器が使用されたが、ブーチン政権は米国のシリア侵攻を回避すべくシリアの化学兵器を国際管理下に置きます。(化学兵器禁止条約批准)
北朝鮮との関係
北朝鮮とは伝統的友好国。軍事交流や弾道ミサイルなどの北朝鮮製兵器の買い手。
シリア経済
石油資源にも恵まれているが、米国の禁輸措置もあり経済は低迷。失業率20%を超えています。シリア内戦もあり、GDP40%縮小、国内労働人口500万のうち、半数が失業状態、国民の3分4が貧困状態です。
シリア内線(騒乱)
2011年3月から始まったチェニジアで起きた「ジャスミン革命」の影響により、アラブ諸国に波及した「アラブの春」の流れにあり、シリア史上「未曾有」のものとされています。、現在も続いている反政府運動および、シリア政府軍と、シリア反体制派による武力衝突。内戦と言われているがISが多国籍にまたがっていることや、トルコやサウジアラビアなどのアサド政権打倒支援やクルド人勢力の参戦など複雑な状態になっています。
大きくは三つ巴の戦い、アサド政権、反政府勢力、武装集団ISILイスラム国です。他に少数民族のクルド人も武装化して、イラクのクルド自治区のような自治区を作ろうとしています。また、イスラエルがシリア国内の軍事基地を何度も空爆したり、戦闘による流れ弾がトルコの街に着弾し、トルコ軍が反撃を行うなどの事態も起きています。
今回、アメリカのトランプ大統領の決断により、化学兵器を使ったアサド政権に対して空爆を行いました。しかも中国の国家主席習近平氏が
渡米して一緒に夕食をしているときに伝えたとされています。そのトランプ氏は今年の3月では「アサド政権打倒は優先課題ではない」としてロシアと協力してISやテロ打倒を目指す方針を表明していました。
トランプ大統領誕生により、世界は潮流が大きく変わろうとしています。北朝鮮問題に対しても、トランプ大統領は中国が参加しないなら、アメリカ単独で北朝鮮問題を解決すると公言しています。北朝鮮を支援している中国・習近平国家主席もトランプの行動力・外交力を見せつけらた恰好となりました。
日本の安倍政権は早速トランプ支持を発表。日本にとっては北朝鮮問題に大きなくさびを打ってくれたアメリカ・トランプ大統領支持は理解できます。しかし、これから予想されす台湾問題、朝鮮半島問題に対して日本はもっと自分の国は自分で護る国にしなければ、真の意味でのアメリカのパートナーにはなれないと感じています。強いアメリカだからこそ強い日本が必要です。
現在国連は機能していません。ロシアはシリアに軍事基地があり、アサド政権を応援していますが、そろそろアサド政権を見放す時期にきているのでは。これからは大国同士(米国、中国、ロシア)の動きを注意しながら日本としての道筋を見つける必要があります。