Duft. | _


駅の階段を駆け降りて
改札を抜けたら外は雨だった。

傘を持つ人の波を縫うように早足で歩く。
サンダルの足元はすぐに冷たくなる。


後ろから追いかけてきた傘が
私を見つけて、包み込んで
煙草の匂いとパチュリの香り
私より長い髪の毛が
私の頬に張り付く。



どこにいても何をしていても
あなたはあなたなのだと知る。

何年経っても。
歳を重ねても。