こんばんは。関節の軋む梁草です。
理科とガキンチョに悪戦苦闘していた私。
そこで、突然ある生徒を受け持つことになりました。
今まで名前は知っていたものの、授業を受けている様子を見たことのない謎多き生徒。中2の男子でしたが、どうやら学校でわからないところがあったらコマを入れる、というスタイルらしく。道理でほとんどお目にかからないわけです。
さて、彼の理科を受け持つことになったわけですが……通ってる学校名を見て超愕然。
マジの名門校やんけ……
いや何を教えればいいのか。しかも中学の理科は懲り懲りなんやぞ!
しかし、そんな心配も秒で霧散しました。
なぜなら。
やってる内容が全く高校の範囲だったから。
さすが名門校。しかも私がちゃんと勉強してた物理科学の範囲です。
さてと。一体どこがわからないのか。
おっかなびっくり聞いてみます。
彼によると、電池について授業でやっているらしいのですが、どうやら電子の移動やらなんやらも含めて迷走しながら教わっているらしいのです。
本当に中学か?
まるで大学教授のような授業展開。
そりゃあわけもわからなくなります。
しかしまあ、電池を根本から教えるとなると、当然電子の存在から酸化還元反応、イオン化傾向まで教えなきゃなりません。
「高校の範囲までがっつり入るけどいい?」
彼の返事は迷いなく
「もちろんです」
でした。
ありがとう。本当にありがとう。
さすが優秀な子です。
明朗快活で話も弾むし、質問してくる内容もしっかりしています。
「頭のいい子ってこういう子を言うんだなあ」
としみじみ思わされたわけです。
そんなこんなで楽しく授業は進み、あっという間に90分が過ぎてしまいました。
当然全部が全部教えられたわけじゃありませんでしたが、彼は私の授業がいたく気に入ったらしく
「次も先生にしてもらいます」
なんて言われてしまいました。
「指名とか風俗かよ」
そんなことを中学生相手に言うほどアホではありませんが──職業冥利に尽きる。そんな経験を初めてすることができたのでした。