高校生で大手塾の先生をした話8

　お久しぶりです。思い出したように1年ぶりの更新をする梁草です。

　ある日のこと、とある男子生徒が模試の結果を塾長へ渡しに来ました。
　ちょうどその時私は塾長と話してたので、会話は一時中断されたわけですが、彼の持ってきた模試を見て目をひん剥かれました。

　駿台模試

　そうです、あの難関、駿台模試です。
　私も現役のときは受けてましたが、偏差値60取るのでやっとという鬼畜さ。
　そんなものを受けさせる高校はそれなりの進学校なはず。そう思い、彼と塾長が話してる間に端末で彼の個人情報を調べました。
　すると──

　〇〇高校

　……あれ、その名前……

　うちの高校やんけ！！

　まさかの後輩でした。となるとさあ大変。実は私の母校はバイト禁止でしたから、当然彼もバレるわけには行きません。
　彼が去ったあとで私は塾長に話しかけました。
「あの子、〇〇ですね」
「……そうですね」
「授業とかその……」
「……当たらないようにしときます」
　さすがの心遣い。
　結局、一度もバレずに卒業できましたが、世間の狭さを思い知った出来事なのでした。