百聞は一見にしかず。
この言葉がこれほどしっくりとくる体験を
今までしたことがあったでしょうか。
そんな新鮮な感動を素直に感じた旅でした。

ガウディの素晴らしさは、度々耳にしてきたし
映像を見る機会が幾度もありましたが
実物の圧倒的な迫力を前にして
すぐにガウディの虜となってしまいました。
まずは誰もが知っている未完の超大作
サグラダ・ファミリア教会(聖家族教会)へ。


1883年、ガウディは31歳で聖堂建築家に就任し
その後43年間、人生の大半を
この大聖堂建築の為に費やしたそうです。
着工から120年、「生誕」「受難」の2つのファサードと
それぞれに鐘塔4本の計8本と後陣が姿を現しています。
全部で18本の尖塔が建つ構想ですが
現在完成している8本の塔うち
ガウディが実際に目に出来たのは1本だけだそうです。
1本でも見れて良かったね~と思わずにはいられません。


「生誕」のファサード。
東に面しており、朝日を浴びてそびえる姿は
まさに生誕の場面そのものなんだろうなぁと想像しつつ
荘厳でボリュームのある表現は見応えがありました。
日本人彫刻家、外尾氏の作品はこちらにあります。
画像右側の彫刻が外尾氏の作品です。


「受難」のファサード。
こちらは西側にあり「生誕」とは対照的に
直線を駆使した構成が印象的です。
斜めに延びた柱は木の根をイメージしているそうで
正確に計算されたフォルムが一段と力強く感じます。



聖堂内部の柱と天井。
柱は木からインスピレーションを得たようです。
木の枝から葉が生い茂るように天井へと伸び
大自然に抱かれたような感覚になりました。
柱の途中の装飾は幹を切り落とした
切り口を表現しているんですよ。
こんな細部にまでこだわったデザインでありながら
フニクラという逆さ吊り実験を繰り返し
緻密な設計力で重力と調和させる技術が生かされており
これからこの上に巨大な塔が建ったときにも
その重さに耐えうる構造となっているわけです。


鐘塔の螺旋階段。
これはもちろん貝から得たインスピレーション。
この連続して見える螺旋構造は
吸い込まれるような美しさで
深海の中へ潜り込んでいくような感覚を覚えます。
実はこの階段、中央部分が空洞なのでかなりデンジャラス。


塔の一部分のディテール!
これを見て分かるとおり、すべて手作業。
単純な形態ではないので量産は難しいでしょうね。
今でも職人さんが、一つ一つタイルを割って
パーツを作っていました。気の遠くなる作業です・・・。


この教会は人々の浄財のみで建築されている為に
工事が中断することもあったそうです。
今後、南側に「栄光」のファサードとその塔4本
ラテン十字平面を持つ聖堂の中央に残り6本の塔が建つ予定で
その完成は100年後か200年後か分からないといいます。
教会建築では決して驚く長さではないのかもしれませんが
今の技術をもってしても
これだけの時間を要するということに驚いています。
このように複雑な巨大建造物を造る為には
シエスタしなきゃ、やってられないと思いましたよ。
(実際に今でもしているのか分かりませんが)
決して、スペインの人がのんびり?
しているわけでは無いと思いました。

時代を超えて多くの人が
この教会を作り続ける意味は何なのか。
想像を形にする喜びなのか
見えない使命を感じるのか
共に生き成長する一体感なのか
答えは出ませんでしたが
死ぬまでにもう一度
見ておかなくてはならないなと思っています。