『あんの信じるもの お勝手のあん』 | 風信子 

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 年が明けて、建て替えられた紅屋へ戻るおやす。

 

 お勝手で働く新米の小僧の面倒を見ることになり、料理人として部屋も与えられることになる。

 

 料理人としての才を伸ばしていくおやす。だが、その一方で紅屋が普請のために賄賂を渡したという噂がばら撒かれ、新米の小僧とめ吉が味噌を買いに出かけた際に縛り上げられて、買った味噌を全身に塗られた状態で見つかるという騒動が……。

 

 新しい味噌を買いに出かけたおやすに声をかける不審な男。

 

 そんな中で品川の煮売り屋で働いていた時に知り合った山路一郎がおやすに会いにきたり、毎日が大忙し。

 

 『あんの信じるもの お勝手のあん』 柴田よしき著

 

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 今回はうれしいことが半分、不穏な雰囲気が半分という流れで物語が始まります。

 

 新しくなった紅屋には宿の客用の風呂と奉公人用の内風呂も作られていて、これが当時のことを考えるととても贅沢なことだとわかります。

 

 そして下働きでなくなったおやすは部屋を与えられて、新しい布団で眠ることの幸せを感じることが出来る。親に売られて、大旦那の気まぐれで紅屋で働くことになり、今では下働きの小僧を指導するまでになったあんちゃんラブラブ

 

 大きくなったねぇとしみじみ。

 

 その一方で颱風と高潮でいまだに宿も復興できない人たちなのかはわかりませんが、嫌がらせを受けることになってしまった紅屋。

 

 幕末が近くなっているこの時代。品川宿がこのままでいられるかという政の問いかけ。品川の宿にも確実に幕末の嵐が向かっていることが感じられて、これからどうなるのかと心配です。

 

 その一方で、ようやく柳葉包丁を手にして刺身を引くことを許され、親友のお小夜は無事に男子を出産。

 

 その終わりに未来に不安を抱くあんちゃんに未来はまだ真っ白だよと声をかけたくなるラストでした。

 

 癒されましたニコニコ