こんにちは!

続き。


2回目の通報電話は
電話口の警察官と繋がったまま
たまに、まだ外玄関で暴れている旦那のせいで
恐怖に怯え悲鳴をあげながら話し続けていた。

『今、どんな状況ですか?』
『今、向かってますからねー』
とか、聞こえる。

私はベランダの隅で、旦那が家の中に入ってきたらどこから逃げようか答えが見つからないまま、辺りをキョロキョロしながら電話の声を聞きながら気が気じゃなかった。

私達のベランダはルーフバルコニーになっていて
自分達の部屋の横が一件丸々広いバルコニーになってる。
だけど、こんな時、何の役にもたたない。

その時、一つ考えたのは
非常の時に使うはしご。
それが私のベランダにもあった。
だけど下の階のベランダに繋がっているとはいえ
このときに使ってもいいのが迷った。

もうどうしようー!と思っていたら
ふと、野生の勘?
なぜかわからないけど今いるベランダ、危険な気がして
壁にもたれつつ振り返ることなくサッと自分の部屋へ戻り、今入ってきたガラス窓の鍵をかけた。

隣のリビングも開いていたと思い、鍵をかけに入ろうとしたら…

旦那がすでにリビングのガラス窓を開け放ち
恐ろしい悪魔のような形相て部屋へ入ってくる瞬間が目に入った。

その時スローモーションのようになり
旦那は薄い白いカーテン越しからもわかるくらい
怒りに満ちた顔。
人の顔ってここまで恐ろしい顔になるのかと思ったくらいに
目がひかってて、しかも全身黒のコーデ。悪魔が入ってきたと思った。
地獄の使者のよう。

タロットカードの悪魔、あんな感じ。
それか映画『シャイニング』だっけ?
お父さんが一家惨殺の実話映画。
あんなん。
本当に人って怒りがコントロールできなくなって人を殺す時の形相って、この世のものじゃないんじゃないかってくらいの、あんな風なんやろなぁと思った。


『あぁー、殺される…』そう頭の中でよぎった。
意外と冷静に。
『どうしたらいいの?逃げるにも裸足…どうしたら…』
気を失いそうな恐怖の中、浮かんだのは『ロックした鍵を解錠するイメージ』がポン!と入ってきた。

それと同時に体が自然と玄関へ走り
自分がかけたロックを外し、気がついたら
勢いよく外へ飛び出て見えた廊下の床、そこを走ってる…自分。
『助けてー!!』と声がでそうになったのをなんとか抑え。このときも周りに迷惑かけたくないと思ったから声を出すのを躊躇った。

振り返ると
開け放した扉がゆっくり閉まろうとしてて
旦那の姿はみえなかった。

そのままL字になっているところまで走り抜け
ハッと手元を見ると、まだ警察の人と繋がっていたため『旦那が部屋へ入ってきた!』と伝えた。

すると『対象者宅に侵入!』と聞こえた。

24時間テレビのよう。
まさか自分が…。

とにかく逃げなきゃ!!

裸足で外なんて
なかなかないし変な感じだった。
コンクリの冷たさが直に伝わってくる。


私はそのままエレベーターがあるところまで行き
下の階へ行くボタンを押した。
だけど
上の階に行っていて、待ってる間に追いかけてこられたら!!と恐怖のあまり
エレベーターは諦めて、横にあった非常扉を開け
一階まで降りた。

だけどそこから一階の扉を開くことができなかった。
怖くて外を見ることできず、踊り場付近に座り
警察の人が来るのを待った。