台風10号。

台風のくせに、のろのろしちゃって、

どういうつもりなんだ。

早くどこぞに、いってしまえ!!

 

そういえば、この本にも台風のシーンがあったなあ。

『水車小屋のネネ』 津村記久子著

 

  

 

18歳の理佐と、その妹の律、8歳。

二人の母親に恋人ができ、

家に居づらくなってしまいます。

そこで、理佐は律を連れて

家を出ることにするのですが、

住み込みの仕事なんて、なかなかない。

 

やっと紹介してもらった蕎麦屋の仕事には、

仕事内容に「鳥の世話じゃっかん」とある。

どういうこと? 

怪しげな条件だよー。怖い、怖い。

と思っていたら、そうではなく、

むしろ、この鳥の世話で、

理佐も律も癒されていきます。

 

というか、この鳥こそが、物語の中心人物(中心鳥?)。

理佐や律の視点だけでなく、

時々、鳥の視点を想像して、描かれている。

視点を解放される感じがしていいのです。

 

10年ごとの章立てになっています。

前半はお姉ちゃんの理佐の視点。

後半は妹の律の視点です。

私は、前半がよかったかな~。

18歳の女の子がどうやって、8歳の妹を育てていくの?

ハラハラしながら、応援する気持ちで読みました。

 

周りの人が、いい人ばかりなんてことはない。

だからこそ、この小説の世界がうらやましい。

優しい気持ちで、ゆるやかに穏やかにつながる関係。

お蕎麦屋の夫婦、画家の杉子さん、藤沢先生。

優しい気持ちで生きていたら、こんな人たちに会えるのかな…。