君が傷みを覚えた時、いつも聴こえてくる歌がある。 -119ページ目

山の神さま

南北に連なる奥羽山脈の麓には、せせらぎが創り出した天然の彫刻、つまり、無数の“沢”が走っています。このたくさんの流れが荒雄川になり、大谷川になり、やがては江合川と呼ばれ、北上川につながって、太平洋に注いでいます。小学校の時に習ったでしょ“水の循環”て。だから流れの始まりでもある綺麗な水を人は絶対に汚してはいけないのです。人が普遍的に守らなくてはいけない大切な聖域なのです。この沢が集まった渓流には、山女、岩魚、鱒が泳ぎ、天然記念物のニホンカモシカや月の輪熊が尾根を駆け巡っています。宮崎駿さんが“もののけ姫”で描いてくれた、“主”や“神”がここには本当にいるのです。

道の駅

時代は変わったのですね。ドライブインは映画のトラック野郎に出て以来なくなってしまったし、ちょっと前まではまったくなかったコンビニが町に点在しています。道の駅を知ったのはここ何年かのこと。最初はローカル線の駅かと思ってました。笑うでしょ。初めて入ったのは今年の春先、すごい大賑わい、すごい品揃え、ドライブインとお土産屋さんとコンビニと物産展が合体したみたいです。米粉で作ったカステラが売っていたのも道の駅、無知な私は初めて知りました。有機野菜や無農薬米、地元の新しいものがたくさん売られています。

鬼首

標高1,155mの小柴山山麓に広がるオニコウベスキー場。随分昔に滑りにいって以来ご無沙汰だった。機会があって春先に訪ねたのだが、白銀の世界とは趣がかなり違っていて、緑なすゲレンデは目に美しく、隣の禿岳(カムロダケ:標高1,262m)が雪を頂きながらその峻厳な山肌を見せつけていた。啄木の詩に「ふるさとの山に向かいていうことはなし ふるさとの山はありがたきかな」というのがある。まったくその通りなのである。スキー場の反対側の吹き上げ高原には子供の頃よく訪れた、天然記念物の間欠泉があり、今はなくなってしまったが、鬼首高原荘から眺めるカムロ岳は子供ながらに感動したものだ。国道108号線を北に向かって鬼首峠を越えれば秋田県、右手は岩手県、左手は山形県。地震の影響で今は行けないかもしれないが、昔からの要衝の街道がつながっている。