春になると、聴きたくなる曲がある。タイトルや歌詞に「春」「卒業」「さくら」が含まれている曲はもちろん、恋の予感や恋愛初期のラブラブ状態の歌、良い意味で「変な歌詞に、変な曲」のキレている曲がそうである。また、流行っていたり、自分がよく聴いていたのが春で、その曲を聴くと、その頃の雰囲気が甦るというような思い出の曲もそうだ。

 

今日は38日。外はまだ寒く、コートが手放せないけれど、この数日の日差しは強く、来るべき春の到来を予感させる。ちょうど今頃が最も春らしいのではないか。常に過ぎ去り、懐かしむ夏に対し、常に未来にあり、待ち望むのが春だからである。2020年の春に聴きたい「春うた」を41曲(2時間58分)集めてみた。

 

Hysteric Blue(ヒステリック・ブルー)「春~spring~」(1999) 

オリコン5位。1999年度年間27位。作詞・作曲は、ドラムのたくや。編曲はヒステリック・ブルー&名プロデューサーの佐久間正英(2014年に61歳で逝去)。2枚目シングル。ヒステリック・ブルー最大のヒット曲。当時、まだ高校生だった、たくやが世界史の授業中に作ったとあって、イントロからして勢いがあり、全編に若さが弾けている。春になると聴きたくなる春うた。

 

EPO「う、ふ、ふ、ふ、」(1983

オリコン3位。1983年度年間42位。作詞・作曲:EPO。資生堂CMソング。イントロから全体を貫くリズムの躍動感と「う、ふ、ふ、ふ、」というバックコーラスが印象的なサビはもちろん、「♪たまに見せる涙を やさしい武器に変えて」の展開部(ブリッジ)も素晴らしい。1980年代前半を代表する名曲。

 

③松田聖子「チェリーブラッサム」(1981

作詞:三浦徳子、作曲:財津和夫。オリコン1位、1981年度年間9位。4枚目のシングル。初期松田聖子特有の伸びやかなクリスタル・ボイスで、母音に抑揚をつけて、やや外し気味に歌う(特にAメロの「♪“は”しりだした」の辺り)のがたまらない。軽快なリズムと複雑なメロディーはもちろん、何よりも歌詞が素晴らしい。「♪つばめが飛ぶ青い空は 未来の夢 キャンバスね 自由な線 自由な色 描いてゆく二人で 何もかもめざめてく新しい私 走り出した愛は ただあなたへと続いてる」。

 

④ケラケラ「スターラブレイション」(2013

オリコン30位。2枚目のシングル。フジテレビ系ドラマ「ラストシンデレラ」主題歌。2010年代のJ-POPで、最もポップな曲の一つ。

 

⑤遊佐未森「瞳水晶」(1988

デビュー・シングル。作詞・作曲は外間隆史。この曲を初めて聴いた時は、イントロと間奏がビートルズの「ヘイ・ジュード」のリフに似ていて、全体的に1967年頃のビートルズっぽい雰囲気(特に「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」辺り)があるのと、無段階変速機的にスムーズに地声から切り替わり、ゆるやかな波のように強弱がつく、変幻自在のファルセット・ボイスに衝撃を受けた。198841日発売の春うた。

 

⑥原由子「春待ロマン」(1988

作詞・作曲:原由子。7枚目のシングル「ガール」(オリコン17位)のB面。当時バイトしていた某コンビニのイメージ・ソングで、店内放送(無限ループのカセット・テープだった)で流れていて、好きだった。

 

⑦矢野顕子「春咲小紅」(1981

作詞:糸井重里、作曲:矢野顕子、編曲:YMO。オリコン5位、1981年度年間38位。カネボウ化粧品「1981年春」キャンペーン・ソング。「脳とピアノの鍵盤が直結している」と語ったほどの天才にして絶対音感の持ち主、矢野顕子の楽曲の中で、最もポップな曲。この曲で、一度だけTBS系「ザ・ベストテン」に出演したのだけれど、その映像は今でも時々TBS系「カウントダウンTV」に出てくることがあり、そのたびに当時を懐かしく思い出す。

 

⑧斉藤由貴「卒業」(1985

作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:武部聡志。オリコン6位、1985年度年間34位。デビュー曲。卒業ソングの代表曲の一つ。

 

⑨松任谷由実「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」(1983

オリコン9位。原田知世のシングルとして作った曲のセルフ・カバー。当時、原田知世バージョンの方がヒットしていた記憶がある。ユーミンは、このようなノスタルジックな雰囲気の曲が特に素晴らしい。

 

AKB48「恋するフォーチュンクッキー」(2013

作詞:秋元康。オリコン1位、2013年度年間2位。この曲を初めて聴いた時は驚いた。「♪カモン カモン カモン カモン ベイビー」の部分は、ドアーズのジム・モリソンっぽくディープでソウルフルだし、「♪明日は明日の風が吹くと思う」の後、間奏に入って約5秒後、転調したかのようにギアが切り替わって、ブラスが吹き鳴らされる部分がメチャクチャ格好良く、狂ったように繰り返し聴いた。2010年代を代表する名曲。

 

⑪前田敦子「タイムマシンなんていらない」(2013

作詞:秋元康。オリコン2位。「♪燃え上がるような恋ではないけど ぽかぽかしてる日向が心地いい 時間をかけて どこかにいこう」。前田敦子は、意外に歌がうまい。

 

Salyu(サリュー)「Tower」 (2006

作詞:一青窈、作曲:小林武史。オリコン33位。6枚目のシングル。チョーヤ梅酒「ウメッシュ」CM曲。「♪ね、もっと 好きなことしていいのよ & everynight すべり落ちてmore なだれ込んでno 東京のタワーが見下ろすのは どうしようもない ふたりは常にfallin'love」というラブラブソングなのだけれど、作詞の一青窈と作曲の小林武史は当時付き合っていたことを考えると、なかなかにスゴイ曲である。

 

⑬木村カエラ「どこ」(2009

オリコン5位。隠れた名曲。どこか春っぽい。

 

⑭川嶋あい「My Love」(2007

オリコン5位。フジテレビ系「あいのり」主題歌。2000年代を代表する初恋ソングの一つ。

 

aiko「初恋」(2001

オリコン3位、2001年度年間60位。初恋ソングの決定版。イントロが流れてくるだけで、なぜか泣けてくる。

 

PSYS(サイズ)「Friends or Lovers」(1991

オリコン19位。TBS系ドラマ「ママってきれい!?」主題歌。PSYSは名曲が多いのに、なぜか忘れ去られてしまっているのが惜しい。

 

⑰ピチカート・ファイヴ「ベイビィ・ポータブル・ロック」(1996

作詞・作曲:小西康陽。オリコン19位、1996年度年間192位。日産「ミストラル」CMソング。「♪春なのにデートもしないの? Baby 不思議じゃない?」。オシャレな春うた。

 

PUFFY(パフィー)「たららん」(1998

オリコン4位。作詞:パフィー&奥田民生、作曲・編曲:アンディ・スターマー。8枚目のシングル。力の抜けた独特のゆるーい感覚が春っぽい。亜美と由美のユニゾンによる強力なツイン・ボーカルのパフィーは、今でも唯一無二の存在感を放っている。

 

the brilliant green(ザ・ブリリアント・グリーン)「Hello Another Way -それぞれの場所-」(2000

作詞:ボーカルの川瀬智子、作曲:ベースの奥田俊作。オリコン8位。10枚目のシングル。JALACTIVE 北海道 2000CMソング。「♪いつかは旅立っていく それぞれの場所へ」という歌詞が卒業ソングっぽい。

 

⑳川本真琴「桜」(1998

オリコン2位。「変な歌詞に、変な曲」の典型的なキレている曲。

 

Chappie(チャッピー)Welcoming Morning」(1999

オリコン86位。作詞・作曲・編曲:pal@pop(高野健一)。デビュー・シングル。「変な歌詞に、変な曲」2曲目。似た曲は他にあまりなく、発売から20年以上経た現在でも、全く古くなっていない稀代の名曲である。

 

JITTERIN'JINN(ジッタリン・ジン)「にちようび」(1990

オリコン1位、1990年度年間26位。JITTERIN'JINN最大のヒット曲(累計約32万枚)。「変な歌詞に、変な曲」3曲目。

 

㉓少年ナイフ「Riding on the Rocket/ロケットに乗って」(1992

アルバム「Let's Knife1曲目。確かシングルとしても発売されたはず。「変な歌詞に、変な曲」4曲目。

 

㉔谷山浩子「てんぷら☆さんらいず」(1982

作詞・作曲:谷山浩子。11枚目のシングル。ニッポン放送系「谷山浩子のオールナイトニッポン 木曜2部」(19821986)のオープニング・テーマだった。「変な歌詞に、変な曲」5曲目。

 

The 東南西北(ザ・とんなんしゃーぺー)「内心,Thank You」(1986

作詞:松本隆、作曲:ボーカルの久保田洋司。2枚目のシングル。「♪三叉路で見つめ合ったまま 動けない影ふたつ」というサビの部分の歌詞が印象的な美しいバラード。個人的な思い出から春のイメージが強い曲。

 

㉖川村かおり「メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ」(1989

オリコン90位。作詞:川村かおり・高橋研、作曲・編曲:高橋研(中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」の作詞・作曲で有名)。4枚目のシングル。ティーンエイジ・ラブのワン・シーンを切り取った歌詞がせつなく、美しい曲。「♪もしも君が少し笑いたくなった時には 僕と出かけないか 真昼の遊園地へ 平日の昼下がりなら きっと僕ら二人きりさ 観覧車の下で悩みを聞いてほしいよ 芝生に腰おろし 話を聞いてあげるよ 制服を着替えもせずに あの頃もここに来たよね」。「個人的な思い出から春のイメージが強い曲」2曲目。

 

RCサクセション「スカイ・パイロット」(1985

18枚目のシングル。「個人的な思い出から春のイメージが強い曲」3曲目。

 

㉘忌野清志郎「AROUND THE CORNER/曲がり角のところで」(1987

ソロ3枚目のシングル。「個人的な思い出から春のイメージが強い曲」4曲目。

 

㉙佐野元春「グッドバイからはじめよう」(1983

10枚目のシングル。「♪あなたはよくこう言っていた 終わりははじまり」。

 

㉚キタキマユ「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」(2001

作詞:安井かずみ、作曲:加藤和彦。オリコン11位。フジテレビ系ドラマ「カバチタレ!」主題歌。この曲はカバーで、オリジナルは岡崎友紀のシングル(1980/オリコン18位)。春っぽい曲。

 

orange pekoe(オレンジ・ペコー)「やわらかな夜」(2002

作詞:ボーカルのナガシマトモコ、作曲:ギターの藤本一馬。オリコン36位。2枚目のシングル。ジャジーで、とてもオシャレな春の夜っぽい曲。そのオシャレ感は突出しており、J-POP史上最もオシャレな曲だと断言したい。

 

㉜スキマスイッチ「全力少年」(2005

作詞・作曲・編曲:スキマスイッチ。オリコン3位。2005年度年間78位。5枚目のシングル。何かの始まりにふさわしい曲。

 

MY LITTLE LOVER(マイ・リトル・ラバー)「Hello,Again~昔からある場所~」(1995

作詞:小林武史、作曲:藤井謙二・小林武史。オリコン1位(2週連続)、1995年度年間9位。オリコン歴代シングルランキング34位。3thシングル。マイ・リトル・ラバー最大のヒット曲(累計180万枚超)。春らしい曲。

 

㉞柴咲コウ「Prism(プリズム)」(2007

作詞:柴咲コウ、作曲:Jin NakamuraEXILELovers Again」、JUJU「この夜を止めてよ」なども作曲)。オリコン20位。14枚目のシングル。春から初夏に聴きたい曲。

 

㉟スピッツ「君が思い出になる前に」(1993

オリコン33位。この曲も春っぽい雰囲気。

 

㊱上々颱風(シャンシャンタイフーン)「菜の花畑でつかまえて」(1991

作詞・作曲:リーダーの紅龍。「上々颱風2」収録曲。ライブの定番で、「♪愛はメロディー リズムはいのち 愛にいのちを吹き込んで」という歌詞も素晴らしい。なお、今まで観た中で最高のライブは、1990年か1991年に祇園甲部歌舞練場で行われた上々颱風のライブだった。

 

㊲渡辺美里「さくらの花の咲くころに」(1988

作詞:渡辺美里、作曲:木根尚登。アルバム「ribbon」収録曲。

 

㊳くるり「春風」(2000

オリコン29位。5枚目のシングル。出光興産CMソング。松任谷由実と矢野顕子がカバーしている名曲。

 

㊴いきものがかり「花は桜 君は美し」(2008

オリコン7位。8枚目のシングル。

 

Kiroro「青のじゅもん」(1999

作詞:玉城千春・長浜幸路、作曲:玉城千春・金城綾乃。オリコン22位。4枚目のシングル。「♪3月の雨はすごく冷たくて ねぇ 少しだけあなたに逢いたくなる」。Kiroroの玉城千春の作る曲は、童謡のような素朴で、不思議な味わいがある。

 

㊶桑江知子「私のハートはストップモーション」(1979

作詞:竜真知子、作曲:都倉俊一。オリコン12位、1979年度年間77位。ポーラ化粧品「1979年春」CMソング。70年代を代表する春うたの一つ。あと、キャンディーズ「微笑がえし」(1978)も入れたいと探したけれど、CDを持っていなかった。