(岩波新書、2018・8)。

 

図書館から借りて、ほとんど読まないうちに返す日になってしまった。

 

47頁以降。

 

紀元前1世紀に季節風が発見され、インド西岸部とローマを結ぶ海上交易が大発展。

 

それに伴って、インドの一部に富の蓄積が起こる。

 

この時期、「職人組合に預けられた資金の利子や農地といった定期的な収入源を、〔仏教の〕出家教団が所有していたことが知られる。こうして定期収入が生じるようになると、個々の出家教団はなんらかの形で恒常的な経営が行われる組織へと変貌する。もともと遊行生活をする……」。

 

経済的大変化が、遊行が当たり前の仏教修行者の性質を変えたわけですね。

 

諸行無常です。

 

それにしても、収入減が興味深いです。

 

現代において、伝統宗派や新興宗教が株とかやっている例はありますが、紀元前1世紀に利子を得ていたんですね。

 

江戸時代以前(廃仏毀釈やGHQの農地解放以前はと言うべきか)は寺院は荘園を持っていたり、農地を所有したりしていましたが、紀元前1世紀に農地を持っていたんですね。

 

そして恒常的居場所があることは、もっと教えにかかわる部分でも変化を生みます。

 

「出家者が遊行している限りは、仏典を文字に書き写しても、写本を持って歩かなければならなくなるから、かえって不便である。しかし、恒常的に運営される僧院があれば、……」ということになるわけです。

 

すごいですね。

 

宗教と経済の関係、無視できませんね。

 

言葉を変えれば仏法と王法の関係ですね。

 

この本、要領よくまとめてあります。

 

この辺まで読んだのですが、今日返却します。

 

※全体的にパラパラ見ていると、中村元氏の原始仏教研究の膨大な努力と馬場氏の研究の関係について、考えさせられてしまいます。学問も諸行無常で進歩して行くということでしょう……。