(1967年6月)。

私のイメージで、渡辺照宏氏の岩波新書を順位づけると、

①『仏教 第一版』

②『仏教 第二版』

③『日本の仏教』

④『お経の話』

という順になる。

あくまで、私の中での話。

 

『仏教 第一版』は私の人生全体の読書の中でも第一に挙げたい本だ。

衝撃的だった。

夢中で読書した経験はあるが、この本ほど前後裁断して夢中になった本はない。

「三昧」を味わった唯一の本かもしれない。

 

さて、『お経の話』は、

前半が「小乗仏教」と大乗仏教の経典史・概説で、

後半が具体的お経を取りあげての解説になっている。

 

後半で取り上げられているのは

大乗仏教思想の中で、大きな達成を示したお経が中心になっている。

オーソドックスなのかもしれないが、オーソドックスすぎるような気も少しした。

 

前半でお経の内容の多様性を強調していたので、後半では

思想的に重要な原始仏典(『スッタニパータ』とか)

思想的に重要な大乗仏典(『華厳経』か般若思想系経典)

思想的に重要な論書(龍樹のもの?)

地誌的な物(『大唐西域記』とか)

説話集的な物(『雑宝雑経』とか)

などバラエティーを持たせてもお経の魅力を伝えられて、面白かったのではないかとちょっと思った。