(講談社学術文庫、2020年3月)。
ものすごく勉強になりました。
「一を聞いて十を知る」という言葉がありますが、
私は「一を聞いて十を知った気になっていた」ことが判明。
天台宗の歴史、天台教学の変化などが小著の中にぎっしり詰まっています。
こういう本が書けるのは、とても力のある学者さんなのでしょう。
最澄が南都六宗との融和を図っていたことを知りました。
天台宗内の派閥対立を具体的に知りました。
一乗円教を謳っている宗派ですさまじい派閥対立があるのですね。
一致団結が標語の会社や部署で激烈な派閥抗争があるようなものです。
教室内カーストも少し似ているかもしれません。
日本の陸軍と海軍も仲悪かったし……。
人間集団のあるところ、必ずこのような問題があるものなのでしょうか?
普遍的な問題であるならば、解決の定式化・法則化もできるような気がしますが……。
説話の中に出てくる天台僧が今までは点と点だったのが繋がって見えるようになりました。
新たに設けられた巻末の参考文献リストは極めて充実しています。
私にとっては「買ってよかった!」と思える、値段の何倍もの価値のある本でした。