(杉勇ほか訳『古代オリエント集』、筑摩世界文学大系1、1978年4月)。

 

古代エジプト文学のうちの

 

教訓文学の一つ。

 

日本とは時代も風土も全く違う所で

 

どのような教訓が展開されるのか。

 

(省略)(本人の)聞いていないとき(その人のことを話すの)は、きわめて重い罪である。

……「きわめて重い罪である」とまではいかなくても、現代日本でもしない方が無難でしょう。

 

13

ビールを飲みすぎてはならぬ。その時には、汝の知らないうちに、意味の分からぬ言葉が口からでてくる。倒れ、体がばらばらになっても、誰も手を貸す者はいない。(省略)

……この辺は時間と空間を越えて通用する教訓でしょう。「意味の分からぬ言葉が口からでてくる」という所はリアルですね。写実主義を思わされます。「体がばらばらになる」という表現が日本文学にはない表現で面白い。実感がこもっています。

 

22

多く休むものは栄えることなし。汝が機会(を逃さぬ)男であるなら、尊敬されよう。

……努力・勤勉はどの文明圏でも大切なのでしょう。「男」に限定しているところは今の時代とは合いませんが、(ただ努力・勤勉なだけでなく)チャンスを促らえることを重視しているところが印象的でした。

 

31

汝を攻撃する人を悪く言ってはならぬ。争論においては怒号は心の底に休ませておけ。(省略)

……処世術としてその方が優れているのでしょう。現代でも通用しそうですね。

 

34

見知らぬ者に汝の心を開き、自分に<不利な>発言を見つけださせてはならぬ。(省略)

……身近でもよく知らない人っていますよね。自分の言ったことが曲解されてあらぬところに出回っているという経験をした事のある人って結構いるんじゃないでしょうか。

 

48なぐり合いを(始め)ようとしている群衆をみたならば、その中にはいってはならぬ。決して近くを通って(も)ならぬ。

……正しけれどもやけに現実的。古代エジプトでは多かったんでしょうか。