今日は、今までご説明した各指標を使って伊藤園(2593)の5年後の株価を予想します。

 伊藤園を株価予想銘柄として選んだのは下記理由により予想の精度が高いと判断したからです。

その理由とは、
 ①飲料は、景気の影響を受けにくい。
 ②同社の売上げの80%を占める日本茶製品は、「おーいお茶」等のブランドが確立されており今後も 安定成長が予想される。
 ③有利子負債が無く、金利が同社の業績に与える影響は少ない。
 ④競争力維持のための設備投資等の更新負担が少ない。
 ⑤過去5年安定したROE実績がある。
 ⑥さらに短信によると3年後ROE17%の目標を掲げており、同社はROEを意識している。

 要は半導体や、ネット関連企業など違い、ややこしいことを考えなくても結構数年の業績は予想しやすいということです。

 添付の表を説明します。この表は過去7年の伊藤園の一株辺り利益(EPS)、一株辺り純資産(BPS)、配当、ROE、です。内部留保率は、一株利益の内どれだけ自社にとどめておいたかを示す割合です。ご覧の通り、過去7年伊藤園はROEが15%前後と非常に安定した成長を遂げています。

 将来の予想成長率を計算します。予想成長率とはEPSが毎年どれだけの割合で成長していくのかという数字です。ROEと内部留保率をかければ出ます。ROEは、前回記事で説明したとおり一株純資産に対してどれだけの割合で利益を稼いだかを表す指標です。純資産は、配当によって減るので内部留保率をかけます。配当によって出て行かなかった利益は、再び将来の成長のために再投資されていると考えます。予想ROEは、過去7年の中央値(平均だと大きな値や小さな値があると大きな影響を受けるから。でも平均みたいなものと思ってください)を使いました。内部留保率は一部配当の金額が分からなかったので過去4年の中央値を使いました。
 
 その結果、予想ROEは、14.7%、内部留保率は、76.3%となり、14.7%×76.3%で、予想成長率は、11.2%となります。つまり伊藤園は毎年純資産に対して11.2%企業価値を高めていくと予想されます。すると5年後のBPSは、111.2%の5乗×2004/4月のBPS、1388円=2361円。そのBPS2361円×成長率11.2%が、5年後の予想EPSとなり、265円となります。ここ3年のPERの範囲が最低18倍から最高32倍なので、予想株価のレンジは4742円から運がよければ8477円となります。その間に50円配当が5回あるとすると、8477円+50円×5円が投資のリターンになります。現在の伊藤園の株価が5100円ですので株価が予想最低株価の4742円だとすると、0.43%のマイナス、予想最高株価8477円だとすると11.34%の利回りになります。(受取配当の現在価値計算は除く)今年の一番の安値4220円で買っていたとすると、利回りは、最高15.6%から最低3.42%に改善します。

 このように業績が好不況の影響を受けずROEが毎年一定の数値を上げている企業の場合、数年後の株価の予想が立てやすいでしょう。ご参考に。

(当投稿は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、読者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。この予想は机上の計算で不確定要素が多いよ。