台風19号に翻弄されていますが、明日はプールマッチ最終日。連日のように熱戦が続いた日々は明日で終わり。その後は週末ごとに行われるトーナメントに移ります。ワールドカップはプールマッチ最終日が寂しいんです。1つの区切りで、大会そのものがフィナーレに向かっていると実感します。明日、日本中に大きな被害がなく再び祝祭の日々に人々が向かっていける事を、今はただ祈るしかありません。


 日本代表は今日も秩父宮で前日練習を行いました。大雨の中でトレーニングを行ったことは明日の試合への決意の現れ。スコットランドが「中止の場合は法的措置も辞さず」と無理難題を言っていることに対して、ジェイミーも「勝って黙らせる」と闘志をむき出しにしています。スコットランドとしては自信のなさの裏返しなのかな、と思います。神経戦を仕掛けてきているわけで、アウエーの雰囲気と台風という不慣れな自然環境にナーバスになっているんだと思います。台風に慣れている我々も恐れているわけですから、スコットランドが神経質になるのは分かります。その点、日本は試合に集中出来ているように感じます。


 明日の日本戦以外の見所を。


NAM☆☆☆★★CAN@Kamaishi


 ワールドカップ出場6大会で未だ未勝利のナミビアに初勝利のチャンス。カナダはどうも良いところがありませんが、ベスト8経験もある古豪としての意地もあるでしょう。イタリア、ニュージーランド、南アフリカとの対戦の内容を比較しても実力が拮抗していることは明らかです。

 ナミビアは早くボールを動かしてチャンスを伺いたい。カナダはどこに強みを見出すか。フィジカルで上回るか。セットプレーの力関係が重要。ナミビアはここで負けると厳しくなります。

 どちらもここまで3敗で負けても勝ってもこのワールドカップは終わりなのですが、それでもただ勝つためにお互いが非常に熱い試合をすると思います。いつも全力でやるのがラグビー。そういう試合をして、またしても釜石にラグビーの神様からの贈り物がもたらされる予感がします。いや、これは間違いなく面白い試合、ワールドカップならではの試合になります。ナミビアはワールドカップ未勝利ですが、カナダも2003年大会以来、3大会勝利がない。悲願の初勝利か、古参の意地か。この試合は日本テレビ系列で地上波放送もあるので、是非注目してもらいたいです。


TNG ☆☆☆★★ USA@Hanazono


 こちらも3敗同士の対戦。これも激戦必至です。トンガはフランス相手に2点差まで追い上げ勝ち点1を獲得した。初戦のイングランドには完敗したものの、アルゼンチン相手にも健闘し、チームの調子は上向きか。8月に日本と対戦した花園で大会を終えるのも何か運命を感じます。長く近鉄でプレーしたタウファ統悦さんがトンガのリエゾンを務めているようですが、旅の終わりが花園ってのは運命を感じます。

 米国はなかなかワールドカップで勝てない。こらまで日本とロシアにしか勝った事がない。今回はもっと躍進するかと思いましたが、ティア1には歯が立たず3連敗で最終戦を迎えました。

 試合は互いに直線的にぶつかり合うフィジカルバトルになるか。トンガはフランス戦から中6日なのに対し、米国はアルゼンチン戦から中3日。この辺も試合結果には大きく影響しそうです。この試合はトンガの魂が勝利を呼び込むと思いますね。トンガ代表として長く活動できるのはワールドカップだけで、その思いが爆発するのではないでしょうか。


WAL ☆☆☆☆☆ URU@Kumanoto


 ノックアウトステージ進出を決めているウェールズの最終戦。ウルグアイもこの試合でワールドカップを去ります。初戦でフィジーを倒して世界を驚かせたウルグアイ。間違いなく強くなってます。ウェールズはノックアウトステージを睨んで主力を温存。リー・ハーブペニーがフルバックでスタメンです。

 試合はウェールズが間違いなく勝つでしょうが、ウルグアイも意地を見せたい。前回も対戦してウルグアイはノートライトだったのですが、何とかタックルからチャンスを掴んで爪痕を残したい試合です。


 昨日も一試合ありました。


AUS 28-8 GEO


 ワラビーズが一方的に攻め続けましたが、ジョージアも強いタックルで対抗。雨でボールが滑ることもあってワラビーズはハンドリングエラーが多く、途中まで接戦になりました。

 前半は10-3で折り返し、後半30分まで17-8とジョージアも迫りました。ただ、最後の5分でワラビーズが2トライを追加して、終わってみたら4トライボーナスを得てワラビーズが勝ち点5を積み上げました。ポーコックのボール奪取やコロインベテのランといった魅力もあるワラビーズですが、イングランドとの準々決勝は不利との見方が広がっています。ウェールズに敗れてこのまま「脇役」として、大会を去るのでしょうか。ワラビーズは過去のワールドカップで北半球の複数のチームに負けた事はありません。イングランド戦は決戦です。


 ジョージアは前回大会で得た次大会シードを失って大会を去ります。ティア1に追いつくためにはまずセットプレーの安定が必要で、ジョージアはその点はクリアしているのですが、そこからもう一段上がるにはバックスの走力、展開力が欲しい。バック3に革命的に才能のある選手が現れるとまた強くなると思うのですが。日本にとっても好敵手となり得る存在で、ともに切磋琢磨していきたいチームです。ジョージアのヘッドコーチのミルトン・ヘイグさんはこの大会で退任。サントリーのヘッドコーチとして再度、日本にやってきます。


 ジョージアの顔、マムカ・ゴルゴゼもこの大会で代表引退。前回大会でいんたいしたはずでしたが、大会直前に戻ってきました。フランスでトッププロとして長年活躍してきたゴルゴゼ。強いタックルと熱いリーダーシップでジョージアをティア2有数の強豪にステップアップしてきたチームを支えてきた事に、拍手です。