Yahooが何かまた自分で自分のビジネスを破壊する行動に出たところで、もはや何の驚きも感じまい。この期に及んでは。
昨日(米国時間6/12)1:35 pm ESTに公開した記事 で、われわれはヤフーが検索マーケティング事業でグーグルと提携を発表し、マイクロソフトとの交渉を実質的に打ち切り、政府承認を待ってグーグルと検索マーケティング分野で独占的なポジションを固めるだろう、との観測を報じた。そして25分後、ヤフー株の大量の売りが始まった。 ― このニュースを受け市場が賭けを張る次の1時間のうちにヤフーは数億ドル分の市場価値を失った。
同日3 pm EST。ヤフーはマイクロソフトとの全交渉の正式終結 を発表、ヤフー株がさらに下がった。その後、揺り戻しで株はやや上がったが、それでも取引終了までにヤフー株主の懐からは結局、$3.6B(36億ドル)が消えた。取引が引けてからヤフーはここでお伝えした最初の報道を認め、自社検索マーケティング事業の相当部分を委託することでグーグルと契約を結んだ 旨、事実と確認した。
グーグルと共同発表した提携の契約内容は全く無害に見える。― ヤフーは自分が選んだ時と場合のみグーグルの配信広告を掲載することができるし、自社や他社の広告と並べてGの広告を掲載することも可能だ。 が、現実にはこれでヤフーのプラットフォームからもっと多くの広告主が逃げ出すことになり、そうなれば競売で決まる広告レートも下がる。そうなればヤフーはまたもっとグーグル広告を取らなくてはならなくなる。そうなれば…
これは悪循環だが、上場企業たるヤフーに選択の余地はない。時間が経つにつれ、ますますグーグルに依存するようになっていく。
ヤフーの株価が暴落する中、それを見守る社内全体の雰囲気はどうだったのか? ヤフー社内のソース複数が興味深いことを話していた。 「何が起こってるか、まったく掴めない状況です」、あるVPはこう語る。 「ファッ○ング列車事故、完全なカオスさ」、これはもっと若手の社員が言葉少なに語った印象だ。
対マイクロソフト交渉で狂った真似をするヤフーを非難した 当時は、でもまさか本当に正気を失ってるとは思ってもみなかった。グーグルに検索マーケティングの独占を手渡すという話は、てっきり単なる策略とばかり思っていた。マイクロソフトから1株33ドル以上の提案を引き出す方便だろう、と。
が、それは私の勘違いだったようだ。 ヤフーのマイクロソフト嫌悪は根深い。現に、独立経営をほんの少し長く維持するという、たったそれだけのために結局は自分たちの会社の未来を自ら破壊するまでに根深いものだったわけだ。彼らは株主と従業員、辞任したキーポジションの社員たち
の願いを無視して提携を葬り去った。そして、グーグル、ジェリー・ヤン(CEO)、Sue Decker(プレジデント)、もしかしたらティム・オライリー
― 以上を除けば世界中に誰一人としてこの顛末を喜んでいる人間はいないだろう。
1990年代の強硬な独占的振る舞いの後だけに、マイクロソフトに対してはみんな未だに疑念を拭い切れずにいる。それは確かだが、それを言うなら検索マーケティング分野におけるグーグルの強大なプレゼンスに対抗しうる勢力が形成できるのがヤフーとマイクロソフト以外ないことも、これまた確かなこと。
彼ら抜きなら、グーグルは相変わらず検索マーケティングから上がるドル収入から一番大きな分け前を我がものにし、サードパーティーのパブリッシャーにはゼロに毛の生えたような二束三文のドルを分配し続けるだろう。しかし曲りなりにも、マイクロソフトとヤフーはどちらもグーグルに負けぬよう、取引き確保のため率先して戦ってきた。そのおかげで、少なくともグーグルの利益をほんの少しでも押し下げることができた。それが今はどうだ。ヤフーはゲームから降ろされてしまった。この先マイクロソフト単独でグーグルと戦えるかどうかは、なんとも言えない。WindowsとOfficeから入る利益をマイクロソフトが検索の競争に注ぎ込んでいけるのも、あとどれぐらいなのか?
大手プレーヤーの間に存在した微妙なパワーバランスは今日この日を境に大きく崩れた。その影響は今後数ヶ月、数年と時が経てば肌でひしひしと実感できるかたちとなって現れてくるだろう。インターネットを健全に保つためにも検索市場に競争は必須だ 。 ところが今や、どうこれを実現できるかも、ほぼ見えない有り様である。
先月ヤフーのトップに君臨するエグゼキュティブ2人の話 を見たが、大体5分も見たところで彼らの中になんの闘志も残されてないことが分かった。単に諦めたこと自体は、さして問題ではない。仮に彼らの取った行動で傷ついた人間が自分の会社の社員と株主だけなら。だが、当然それだけで収まる話ではないわけで、今われわれ全員がこの飛ばっちりの影響に対処を迫られている。