担当者は細身の小柄な男性だった。

話は殆ど私自身と進める形で、
家族への質問は、私が二階から降りて来るまでの間、
僅かな時間のみ、父親に話を聞いた程度だった。

母親が笑顔で応対したのは、担当者にアイスコーヒーを出したほんの数秒のみ、
その後は担当者が帰るまで、一度も姿は見せなかった。

元々が客商売をしている割に、極度の人見知りなのは解ってたけど…

自分の娘の今後の事なのになぁ…

母親は1時間前からもうピリピリしていたし…
『だんだん具合いが悪くなって来た』
『何を話して良いか判らない』と言って居たから…
それなら何も話さ無くて良いよ…とは言っておいたけど…


質問は幼少からこれまでの私自身の経緯について。
病気になったきっかけ、
いつから母親とは確執を感じていたか、
離婚の原因は何か等々…

状況的にも早期に家を離れた方が良い事と、現時点で仕事が出来ない事を察してくれて、
改めて早急に手続きに入ると言って貰えた。

勿論家賃などの上限があるので、贅沢な場所になんて住めない事は解っている。

別にそんなものどうでも良いのだ…

今は自分の居場所が欲しい…

常に気持ちを落ち付けられる、自分の居場所が…

これもほんの一歩に過ぎない。


自分自身に欠けたモノを埋める為の、自立へのほんの僅かな一歩に過ぎないのだから…

やるべき事は…

まだ幾らでもあるんだ…