今回はスノーボードから離れて更新します。

パタゴニアの範囲はとても広く、僕が滞在したのはその最南端。

ウシュアイアとゆう港町に近い山間部を拠点にし、山を登っては滑り2ヶ月ほど滞在しました。


ウシュアイアまでは6回飛行機を乗り継いで地球を半周。



機内から見た近郊の上空。


ウシュアイアは南極への玄関口としても知られる、地上最果ての地です。

地上最果てなんて聞いたら、荒涼としていて、人なんてまともに住んでいないんじゃないか、怪我した時に困るんじゃないだろうか、行く前には多少の不安もありました。

 

実際に訪れてみると僻地感はなく普通の港町。ハードロックカフェさえあるような規模でした。


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空港方面から見たウシュアイア。

 


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photo by Juan Aizpuru©

MALVINAS=マルビナス。スペイン語でフォークランド諸島のことです。

領有権を巡りイギリスとアルゼンチンが長期に渡って紛争した諸島。それにちなんだアートやグラフィティが街角で目立っているのが印象的でした。


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スノーボードが目的なので訪れた季節は冬。

とにかくどこもかしこも風が強い。

そして経験のない異質な寒さ。

持っていった装備では快適とは程遠いテント泊を余儀なくされました。

 

平野部でも常に風が強かったように思います。強い偏西風が乾いた砂埃を撒き上げ、あらゆるものを黄色く染めていました。

 

興味深いなと思ったのは、水道水や山間部の淡水も黄色っぽいんです。

基本的に山小屋で生活をしていましたが、近くを流れる川の水も黄色い。
これを浴びたり、飲用や料理で使っていましたが、味も悪くないし、体調に変化もない。

 

変化ないどころか、帰国前にはぼくの悩みのタネ、アトピーが消えてたんですね。

水のおかげなのかなぁ、なんて思ってたけど真相は謎です。

 

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南端ということもあり物資の供給は乏しく感じましたが、ぼくはマテ茶やアサド(平たく言えば焼いた肉)が特に好きでした。

 

牛肉をたくさん食べる国柄らしく、年間の消費量は日本の約4倍。

ぼくも現地人に見習いせっせと牛肉を食べすっかり赤身肉の良さを知りました。



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マテ。

金属のストローのようなもので吸い飲みします。味はコク深い緑茶みたいな感じで甘みもあります。

飲み方にも様式やルールがありそれも興味深いものでした。


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熟成して良い頃合いのものをその場で切ってもらい購入します。

部位のことは分からないので予算を伝えてお任せしてました。質を考えると買いやすい価格帯。


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赤身や腸詰め。アサドは炭火でじっくりと時間をかけて熱を通した肉料理(だと思っている)。味付は塩のみ。

本当に美味しかったです。

 


初めての山を登ったり山間部を徘徊するわけだから、時として現地のガイドさんやスノーボーダーたち(スノーボーダーがいるんです)とも交流を持ちました。

 

みんな温厚で優しくて人懐っこい。日本人からシャイなところを抜いたような感じで。すぐに打ち解けました。

 


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現地で出来た友達のFacundoと彼女。

陶器が好きらしく日本の陶器についても博識でした。彼には山のことはもちろん、お世話になりっぱなし。

 

山間部で晴れることはあまりなかったけど、どこを登っても絶景でした。街からアクセスしやすい山は積雪が乏しかったです。
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奥へ入るほど険しい山が無限に続き、積雪もまとまってきます。

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スノーボード、バックカントリーという意味ではあまりにとりつきが悪く、全面的におすすめできる場所ではないと思います。

ぼくにとっては経験したことない強烈な斜面がたくさんありました。

 

近い街も程よく大きくて、人々は温かい。

日本と比較するとやや高い物価ではあるけど輸送距離を考えるとしかたない。

いつか夏場にも訪れてみたい場所です。

 

 


今回はこのあたりで。


近藤勇二郎

 

 

こんにちは。近藤勇二郎です。ひっそり更新を続けています。今回は南米のスノーボードトリップで使っていた道具を紹介します。




photo by Juan Aizpuru

まずは足回り。

ブーツはDEELUXEEmpireです。

DEELUXEには20年近くサポートしていただいています。Empireは山岳登攀モデルじゃないけど、アイゼンの装着が可能です。メーカーで公式に謳ってないので言い切ると問題がありますが、アイゼンが外れたり緩んだりすることはありません。これまでも様々な氷壁をこれで登っています。

だけど、あくまで普通のゲレンデクルージングを対象に開発されたブーツです。

少しの使用で表皮が傷むしDEELUXEにはSPARKとゆう正しい選択があります。


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キックステップやアイゼンの爪で表皮がやられてきます。SPARKならこういった傷がつくことはほぼありません。

傷がつくことは構やしないんですが、傷が原因で水が侵入して、ブーツそのものの寿命が短くなります。

使用アイゼンはグリベルG10ワイド。これ以外の選択肢もあるかもしれませんが僕はずっとグリベルを愛用しています。

 

次にグローブ。
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動きやすさと保温性を兼ねて3本指の革製。

ピーク付近や滑るときはこれです。

アイゼン装着やビレイ、ピッケル保持やスプリットボードのセッティング。作業性を考えると理想は五本指。ぼくは滑り出し地点に達するまで2〜3種類のグローブを使い分けています。

グローブはシチュエーションで使い分けるのが正解でしょう。ブランドはASHRAMグローブ。

衣類のレイヤリングほどでないにしろ、汗をかかないように、冷えきらないような使い方が良いと思います。

 



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photo by Juan Aizpuru

ヘルメットはGIROです。南米にいる時のゴーグルは他社品を使っていましたが現在はGIROを使わせてもらっています。カール・ツァイスと共同開発したVividレンズが想像以上に良くて助かります。


極論、晴天にはどんなレンズでも良いんです。

それよりも悪天候のときにいかに見えるかで。その点Vividは悪天候でも最高の視界とコントラストを確保してくれます。

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 ぼくがレイヤリングと同じくらい注意を払うのがアイウェアの管理です。管理だなんて大げさに聞こえるけど、内部が凍ったレンズほど厄介なものはありません。とにかく内部に雪や水分が入らないようにします。


本当に寒い土地では一度レンズ内側が凍りつくと、それを回復させることは難しいです。

息で吹き溶かそうとしても、吹いてる息が凍りつきます。レンズを外して拭き取ろうとしても氷の粉が舞うだけです。

内ポケットにしばらく入れて体温で溶かすしかありません。そのためにもスペアレンズは必須。

ぼくが使うGIROのAXISは最初からスペアが付属してますよ。

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そんな寒い所に行くなって話ですが今回はこのあたりで。

 

近藤勇二郎