スランプを乗り越えてこそプロは本物に近づく | 近藤昇ブログ 仕事は自分で創れ!

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昨日久しぶりに“スランプ”について、

考える機会ができた。


昨晩、何気に見ていたNHKのプロフェッショナル仕事の流儀に、卓球の石川佳純選手が登場していた。

番組の最後に、プロとは何ですか?と訊かれて、

すぐには言えません。考えさせてください。

で番組は終わったが、このエンディングにも少し感心した。すぐには言えない、プロの流儀。私はこういう感覚は大好きで、この一言はとても奥が深いと思う。

いつか、石川選手の一言が聞けたら良いと思う。

 

この番組の構成は、若くして卓球界のエースにのしあがった石川選手が、前回のオリンピックの初戦での思わぬ敗退から長いスランプが始まった。

そして、苦難の末にようやく勝ち取った今回のオリンピック出場。オリンピック自体延期になり、開催まではあと一年はある。いいまでの苦難から回復するにはちょうど良い時間なのかもしれない。という内容が番組にも盛り込まれていた。

 

1000日間密着取材。流石こういう類の番組は一流選手がスランプになった時から、カメラを回している訳で、様々な思惑が透けて見えるとはいえ、メディアビジネスをしている身としては、メディアを制作する側のプロ意識も強く感じた次第である。

 

本題に入りたいと思うが、

人間には誰でもスランプはあると思う。


それが大きい小さいか、長い短いか、その深さは?スランプの内容にしても千差万別だ。


ただ、一つだけいえるのは、やっぱりプロのレベルでのスランブは奥が深い。人間に関心が強い私としては、人並み以上にスランプに関心を持っている。もちろん、プロでなくてもプロを目指すでもいいが、一流だからこそ陥るスランプがあると私は思っている。

別の言い方をすると、スランプを経験していないプロはいないのではと思う。

 

順風満帆という言葉がある。

いかにも帆船が快晴の中、風を受けて颯爽と航海する様子が目に浮かぶ。人生でもこういう時期はあるが、私の記憶では長くて数か月、短かったら一週間程度という感覚である。

 

私自身過去を振り返れば、大スランプと思える時が一度ある。

拙著“バカモン”にも書いたが、私が40歳手前の時だ。どちらかというと、創業しての数年間は順風満帆感はあったと思う。






40歳手前にして、焦りと、目的を失いかけてスランプになった。

その時は、拙著にも書いているが、新人時代の会社の先輩、二人の言葉でスランプ脱出のきっかけを頂いたと思う。

それは勇気であり、済んだことを後悔しないこと。この2つに尽きるのではとあの時以来の指針にしている。





とはいえ、それからの10数年がどうだったかというと、あの時以上のスランプは何回も訪れているが、気にならなくなった。

鈍感になったのかもしれないが、だんだんと免疫がついてきたように思う。

スランプを乗り越えるにも経験が必要と思う次第である。

 

昨日の石川選手の番組に戻るが、

一度、成功して卓球界の頂点になった。それが思わぬ敗戦から、その結果が受け入れられず、原因を探り続けているうちに、どんどん守りに入っていく。

だれしもスランプ脱出の特効薬は“勇気”だ。

つまり、成功した時をふりかえってみると、一心不乱、一意専心などの言葉が頭に浮かぶ。

 

私は、プロスポーツを単純に観るのは大好きだ。

それはスポーツをするのも観るのも好きと言うベースはあるにしても、このスランプに焦点を当てて一人一人の選手を追っかけていると、面白いことに気づく。

正直、スランプに陥ったまま復活しない選手もいるが、やはり、復活のストーリーに興味があるし、感動や学びにもなる。

 

スポーツなどのプロの領域であろうと芸術家であろうと、ビジネスの世界のプロであろうと脳外科医であろうと、私は人間の共通事項を見つけるのが好きだ。

 

スランプは見方によったら、人生の踊り場ともいえる。

今はコロナ禍で世界中に別の意味での踊り場を経験中の人が多くいる。

いずれの場合でも、結果としては人間にとっての踊り場で貴重な体験といえる。


ただ、スランプという踊り場は、心の葛藤がすさまじいと思う。自分の意志で出来ると思っていることが、結果につながらない。こういうことがきっかけでプロはスランプに陥る。

また、スランプに陥った時は、えてして原因が分からなかったりする。

長いトンネルを抜けたとき、プロは一段上のレベルに成長する。

トンナルは必ず抜けれるとは限らない。

自ら切り開くしかない。

その時に絶対に欠かせないのが勇気と自信だと思う。

石川選手のオリンピックでの活躍がますます楽しみになってきた。

 

以上