当社は、3年前に東アフリカのルワンダに現地法人を設立した。現在、ルワンダ人ICTエンジニアが7人活動している。そんな関係で、私もアフリカには時々訪れるようになった。人間とは実に面白いもので、私たちがアフリカで活動を始めると、当社の関係する経営者の方々も一気にアフリカに関心を持つようになった。“ブレインプログラミング”という書籍に、書いてあるが人間にはRASという機能があって、それが影響するらしい。私たちだけでなく、周囲の方々にもアフリカがRASにインプットされ始めたのである。
最近、私は仕事で出会う方々に、アフリカ行きませんか?と判で押したように話しすることにしている。理由は簡単だ。皆さんに一度はアフリカに行ってほしいのと同時に、アフリカに対する印象を知りたいからである。もちろん、反応はまちまちであるが、大抵の方が思い込みで支配されているのが良く分かる。もちろん、2つ返事で。じゃあ、いつ行きますか?という方もいるが、総じて女性に多いように思う。感覚的には分かるが、老若限らず女性の反応が良く、いつか近いうちに、その理由を解明したいとも思っている。
話を戻すと、アフリカに対する皆さんの印象は正しいのだが、画一的であり、アフリカに対するある強い印象が染みついているように思う。貧困、紛争、砂漠、あとはサバンナ。そして最近は、テロと感染症。このなかでサバンナ以外は、行きたくない。危ない、怖そうという印象だ。それと、とても遠い国という意見も多い。
私もまだ54か国あるアフリカの4か国しかいってないので、そもそも、私自身にも思い込みは十分にあるが、少なくとも、現地法人があるルワンダとルワンダが属する東アフリカは、一般的なアフリカの印象とは違う。標高1000mぐらいの高原で、気候は20度前後で緑が豊富で・・と、毎回説明を始める。しかも、ルワンダの今はシンガポールと比べてもそん色のないぐらい街がきれいである。その理由や背景は色々あるので、それは後日に譲るとして、この話をするだけで、大抵の人は、興味津々という顔に変わる。
実は、これと似たような体験を私はベトナムでしている。当社がベトナムに進出したのは今から約20年前。今でこそ、ベトナムはビジネスでも観光地としても大人気であり、この傾向にはますます拍車がかかる。そんなベトナムもわずか数年前までは、ベトナムに関心を持つ人は少なかった。それこそ、10数年前は、ベトナムを説明しようにも、いったい何をしているの?どこにあるの?何語しゃべるの?地雷は危なくないの?こんな話がほとんどだった。その当時は私は思った。日本人にとってはもっともな話で、私たちが子供のころのベトナム戦争の印象が強烈すぎて、記憶がそこで止まっているのである。思うにアフリカも同じようなものだと思う。
今は、ネット時代。SNSでも世界中で知り合いを作ることもできる。今アフリカで起こっていることを、スマホを使ってライブで見ることが当たり前にできる時代になった。
だから、その気になれば、思い込みから脱却するのは簡単そうに思える。
しかし、そうは簡単にはいかない。RASは手ごわい。私たちが現地の体験をしない限りは、所詮はスマホの中の映像に過ぎない。こんな時代だからこそ、現地で体験する人とそうでない人はギャップが拡大する。一般人ならいざ知らず、経営者であれば、新興国の現状と進化は肌で感じておいた方が良い。そんなわけで、これからさらに積極的に新興国の現状、情報などを発信していこうと思う。