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チョコレートドーナツ
 
1979年、アメリカ。
ゲイのルディはシンガーを夢見ながらも、口パクで踊るショーダンサーとして働く日々。
そんな彼にある日、ゲイであることを隠して生きる検事局の男性ポールが一目惚れ、2人はたちまち恋に落ちる。
一方で、ルディはアパートの隣に暮らすダウン症の少年マルコのことを気に掛ける。
母親は薬物依存症で、マルコの世話もまともにしていなかった。
そしてついに、母親は薬物所持で逮捕され、マルコは施設行きに。
見かねたルディとポールはマルコを引き取り、面倒を見るのだったが…。
 
 
 
 
 
この頃のアメリカでは、まだ「ゲイである」ということが逮捕要件になったり、時には疎んじられるあまり命の危険さえ伴うこともあった。
なので、この映画に出てくるようなゲイカップルが、ひとりの少年を引き取ろうとすることが、いかに困難であるかということが、これを見ていてつくづくわかった。
 
この2人が如何に少年に愛情を注ぎ、如何に大事に少年のことをいつくしみ育てているかという周りの証言があろうとも、そして少年自身がこのふたりと一緒に暮らしたいと願っても、「ふたりがゲイカップルである事実」が大きな壁となる。
 
法とはだれのためのものなのだろう?
法が下したこの決定で、3人のうちのだれひとりとして幸せになれないのに。
・・そう思うととてつもなく悲しくなった。
 
ゲイカップルの話ではあるけれど、それまで母の愛情をほとんど受けることなく育ってきた少年が、「二人のパパ」に愛され、守られ、幸せな生活を送れるようになったのを見れば、だれしも安堵し、こちらまで幸せな気分になれるだろうし、「愛する我が子を取り上げられる悲しみ」には、どの親も共感できるだろうし、ある意味普遍的な作品だと思う。
 
ルディ役のアラン・カミングは、『スパイキッズ』などの映画でもおなじみですが、ミュージカル『キャバレー』のMC役でトニー賞(アメリカ最大の演劇賞)を受賞したこともあるほど、歌唱力も確かな役者。
この中で彼が歌う『I shall be released』(この歌知らなかったけど、もともとはボブ・ディランの曲なんですね~)は力強く、そしてせつなく、胸にぐっと突き刺さる。
 
興味ある方は見てみてね目