稽留流産の手術当日。



朝、両親が子どもたちを迎えに来てくれて、実家に連れて行ってくれた。

 

 

直前まで「ママと一緒じゃなきゃさみしい…」と言っていた3歳次男が、ばあばが来たら猛スピードで着替えて

 

「早く行かなきゃ!ばあばの家が閉まっちゃう!」と大はりきりで出て行くのが微笑ましい。

 


 子どもたちが行って、静かになった家で

 

 

そろそろ病院行こうかって旦那に言われたけど

 


 

 

「手術、したくない…」

 

 

ってうずくまって泣いた。

 

 

 

赤ちゃん、亡くなっててもいいから、お腹の中にいてほしい。


 

この子と、ずっと一緒にいたい。

 

 

 

でもそれは口に出さなかったから

 


旦那は私が手術が怖くて泣いてると思ったのかな。

 


また黙ってずっと背中をさすってくれた。

 

 

 

予定通り、9時に病院へ。

 


受付をしてから、15分ほど待つ。

 


間を持たせようとしているのか、普段あまり話さない旦那がよくしゃべる。

 


でも、旦那が今仕事で担当してるケースの話とか、今の私にはどうでもよくて

 


適当に返事をしながら待つ。

 


 私が、


「稀に出血多量で子宮全摘、とかの判断のときに許可をもらうために、旦那さんは最後までいてもらわなきゃいけないんだって」

 

と話すと

 

 

「えー子宮を取るのはなぁ…(首ふる)。

まあ命に関わるなら仕方ないけど」

 


と言う旦那。


 

子宮を残すこと=もう一度妊娠することを諦めなくてもいいのか、と思い少し安心した。

 

 

悪乗りの冗談で、ついでに子宮も取っちゃいなよ、と言いかねない旦那だから。 

 

 

 

 

診察室に呼ばれて改めて今日の流れの説明。

 


それからもう一度エコーをして、赤ちゃんの心拍が見えないか、最後の確認。

 

 

私にもエコーを見せてもらって、確認した。

 

 

 

2日前よりも赤ちゃんが下に降りてきていると。

 

 

それから子宮の入口を広げる処置。

 


ネットで見て、すごく痛いと覚悟していたけど、実際は痛いのは痛いけど、全然我慢できるレベル。

 

 

その後、看護師さんに「分娩室が混んでいるので少しお待ちください」と言われて、手術室でやると思ってたから少し驚く。

 

 

赤ちゃんを生む部屋で、赤ちゃんの泣き声が聞こえる中で手術をするのは切ないな、と思った。

 

 

だんだんお腹が痛くなってきて、陣痛の時みたいな便意を感じて。それを旦那に言ったら

 

「うんちと一緒に(赤ちゃん)出てくるのかな」

 

って笑いながら言ってて、

 

こういう時にそういうこと言う神経が、本当にわからない。

 

ってうんざりした。

 

 

 

看護師さんが車椅子を用意してくれて、それに乗って分娩室へ。

 

その看護師さんが妊婦さんで、私はお腹痛いにしても全然歩ける程度なのに、妊婦さんに車椅子押させて申し訳ないな、と思った。

 

 

 

分娩室に入って、病棟担当の別の看護師さんに軽く説明を受けて、トイレへ。

 

処置後から便意があったので、排便。

 

これもお腹に刺激があってのものなのか、単に便意なのか。

 

トイレ後、全裸にパンツの状態で、薄い手術着を着て分娩台へ。

 

 

寒い。

 

 

しばらくして看護師さんが来て点滴。

 

 

出産の時も点滴はしたけど手の甲だったし、何より陣痛の痛みで点滴を刺す痛みは感じなかった。


でも今回は手首から5センチくらい上の場所で、看護師さんも「血管が細いですね…」と言っていたから刺しにくかったのか、そもそもそのくらいは痛いのかわからないけど、針を指したあとにグリグリと何回も動かされて、かなり痛かった。

 

 

それが終わって10:15。

 

 

また一人になって

 

 

 

もうすぐ出て行ってしまうお腹の中の赤ちゃんに、

 

 

ありがとう、大好きだよ

 

 

ってお腹をなでながら心の中で何回も伝えた。

 

 

手術はすごく怖いし悲しいけれど

 

 

もうどうしようもない、と気持ちは落ち着いていて

 

 

涙は出なかった。

 

 

 

手術は12時からと言われていたから、

 

 

あと2時間近くも待つのかーと思っていると

 

 

ふたつ隣くらいの部屋から、歓声と、赤ちゃんの産声が聞こえてきた、

 

 

その瞬間、

 

 

 

あー幸せな声だなぁ

 

無事に生まれてよかったなぁ

 

 

 

って、心から思って、そんな自分に少し驚いた。

 

 

自分がこの状態で赤ちゃんの産声を聞いたらショックを受けるかな、と思ってたけど、それは全然なくて

 

赤ちゃんの産声を聞いたら、まるで自分が産んだかのように、ほっとした。

 

 


手術まで、このまま2時間ぼーっとするのもな、と思ってスマホを出してブログに記録を残した。