しかし我が團では、おそらく関西では一般的だと思われる試合開始前に掲揚したら試合終了後のエール交換が終わるまで團旗は降ろせない、という形で運用されておりました。映画「嗚呼!花の応援団」で急遽、旗手を務める事になった1回生が試合が進むにつれ疲弊し、團旗を倒す危機に直面するシーンが描かれておりますが、関西では考えられる光景なのであります。
【映画「嗚呼!花の応援団」】
ではこの文化の違う東西の大学が試合を行った場合、どうなるのだろうと興味を持った昭和後期の頃の話であります。神宮球場での硬式野球の全国大会の模様がNHKで放送されておりまして、團室で当番の團員達が観戦しており、試合よりもスタンドに陣取る両校の應援團の模様に目を凝らしておりました。
何故ならこの試合、西の雄 近畿大学が出場していた為であります。対戦相手は有名プロ選手を数多、輩出している名門 法政大学でありました。どちらかが團旗を掲揚し放しで、もう一方が特定の場面でしか掲揚しない、というのは業界の通念上、あり得ない事でありまして、どちらかの流儀に合わせるか、はたまた折衷案で手を打つのか、興味津々、画面に目を凝らしておりました。
ずっと応援席にTVカメラが向いている訳ではありませんでしたが、見る限り法政側は試合中、ずっと團旗を掲揚し続けていた様に見えました。遥々、大阪より遠征してきた近畿大学に配慮を示されたのでありましょう。
こういう場合も見識は2通りありまして、上記の法政大学の様に遠方から来た相手に配慮を示すというもの、もう一つは会場が東京である以上、郷に入っては郷に従えの論理で関東流儀に合わせるというもの、どちらも筋は通る理屈ではあります。後は当事者間での調整の中で決めていくしかありません。
こういう事前の打合せは應援團の醍醐味の一つでありますが、やはり業界全体のルールの統一は必要性は感じます。各地域で独自の文化を持つことに異論はありませんが、都度、打合せが紛糾するのは合理的とは言えません。
團員の獲得に苦戦している大学も多い中、柔軟な対応が必要になると思われます。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会