第40話 鉄砲【前編】
過激なタイトルであります。「先週、福井で発砲事件があった事だし、さては、、、」と思ってらっしゃる読者の方には申し訳ありませんが、全く違う内容であります。
俗にフグの事を鉄砲と呼ぶことがあります。当たると死ぬ、という事が由来だそうですが、大学生には少々、お高いフグに纏わるエピソードであります。
とある日、時のOB会最高幹部より現役幹部に夕飯のお誘いがございました。幹部一名、付き人として親衛隊2回生の團員2名の計3名で、指定された大阪ミナミのネオン街に向かいます。幹部は
「おい、お前ら、今日はフグらしいぞ」
とすこぶる上機嫌で、極めて乏しいフグの知識を自慢気に付き人團員に披露したりなんぞしておりました。
そうこうしているうちにOB氏が指定した店に着きまして着座致します。するとOB氏の向かいには見知らぬ顔の男性が座っておられます。團員達の疑念を察したOB氏が「ワシの会社の取引先の社長や」とその男性を紹介して下さったので、OB氏の意図を察したのでありました。「先輩はエエ恰好がしたいんやな」という訳であります。OB氏の箸の上げ下ろしにも気を払う屈強そうな團員を侍らせている姿を見せつけたい、という事でありましょう。
こういう場合は必要以上に声を張ったり、動作をやや大袈裟にやったりしますと、「お前ら、そんなに気をつかうな」と言いつつも先輩は上機嫌になるものであります。上機嫌になる⇒財布の紐が緩む⇒2次会、3次会の期待が高まる、という鮮やかな等式が頭に描かれまして、いつも以上に機敏な動きを見せる團員一同。
するとすっかり上機嫌のOB氏、店の大将を席に呼びまして
「今日は例のナニはあるか??」
と意味ありげに問いかけ、大将も不敵な笑みを浮かべ
「分かってまんがな。少々、待っておくれやっしゃ」
と今時、使われない大阪弁で当事者間でしか成立しない会話をしております。いよいよ決戦のゴングであります。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会