新聞紙に纏わる珍話(中) | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

準備に要する時間や撤収するスピードは我が團では特に口うるさく指導しており、相手校が来ている場合、そのスピードにおいて負けようものならこっぴどく叱られるのであります。そこは我が團員は要領の良さだけは日常生活で鍛えられておりますので、後でごまかしが利く部分は何ら手をつけずとりあえず表面上、格好だけは付ける事になり、早いのはとにかく早いのであります。
とは申せ相手校は人数が多いので準備に要する時間はほぼ互角、荷物の置場所に到着したのは我が校の方がやや早く面目を保ったのであります。


後はさっさと荷物を置き相手校より早く自陣へ戻れば先輩に怒られる事もありません。せっせと座席に新聞紙を敷き詰め、荷物をコンパクトに且つ美しく置き出す我が團1回生諸氏の視界に、すぐ近くで同様の作業を進める相手校應援團員の姿が入って参ります。すると傍らにいた同期が

「おい」

と肘で突いて参りますので

「このクソ忙しい時に何や、早くせんと先輩に怒られるで」

と言いつつも、その同期の視線を追うと、凝視している一点には相手校が座席に敷いている新聞紙がございまして

「おい、あれ、日本経済新聞って書いてあるぞ」

「なぬ?あの有名な!」

そうなのです、彼らは日本経済新聞を読んだことはおろか現物を見た事がなかったのです。当時でも大企業を目指す就職活動中の4回生ともなれば必読とされておりましたが、我が團室では一度たりとも見かけた事がございません。


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八代目甲雄会広報委員会