そんな森下副團長が最大の目標に設定しておりました「乱舞の集い」を迎えます。我が甲南大学の学園祭の一環で開催されるイベントの一環でありまして、縁の下の力持ちを旨とする我が應援團が年に一度だけスポットライトを浴びる晴れ舞台でございます。
特にこの年は約10年ぶりに他校應援團との交流が復活し「甲南の腕前はどの程度のものか」とばかりには多くの團が「乱舞の集い」の観覧に訪れる事が予想されておりまして、同じ稼業人の前で下手な舞台は見せられないという張りつめた緊張感がございました。
その中での彼のリーダーは他校からも拍手喝采を浴び「甲南、侮り難し」との評価を得るに至りました。
【應援歌】
【乱れ八拍子】

リーダー部としての能力の過半は体格などを含めた才能に依存致します。その意味では彼は最低限の才能を持っておりましたが、彼以上の才能を持つ團員は過去、大勢、存在していたものと思われます。しかしながら能力の残りの部分を占める努力の部分に関しては、彼ほど努力した者を探すのは至難の業でありましょう。
このシリーズの冒頭で触れた通り入團当初の彼は毎日、應援團を辞める事ばかり考えていた普通の学生でありましたが、いつの頃からか應援團の魔力に魅入られ、精進する求道者に変貌を遂げておりました。
この魅力に気付くという事も先輩や他者に教えられるものではなく、自らが探究する事が肝要でありまして、彼の生き様は後世に道標を遺したのではないかと思います。【完】
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会團史編纂委員会